高齢者の立ち上がり動作における大腿直筋の平行リンク機構
ヒトの立ち上がり動作は生活水準を維持するための重要な動作であり,複数の筋が参画する動作である.そこで,我々はヒトの立ち上がり動作である体幹を鉛直上向きに移動させる動作筋電図学的解析と下肢を単純化したリンクモデルによる理論解析により,体幹を鉛直上向きに移動させた立ち上がり動作の主働筋が大腿部前面の二関節筋である大腿直筋と膝関節の一関節伸筋の2筋であり,これにより,大腿直筋の平行リンク機構が体幹を引き止め,膝関節の一関節伸筋の駆動力のみで立ち上がりを可能にしていることが明らかとなった.ここでは,高齢者の立ち上がり動作の筋活動,床反力の変化と姿勢変化を計測し,体幹重心が鉛直上にある立ち上がり動作の主...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 310_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual61.310_2 |
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Summary: | ヒトの立ち上がり動作は生活水準を維持するための重要な動作であり,複数の筋が参画する動作である.そこで,我々はヒトの立ち上がり動作である体幹を鉛直上向きに移動させる動作筋電図学的解析と下肢を単純化したリンクモデルによる理論解析により,体幹を鉛直上向きに移動させた立ち上がり動作の主働筋が大腿部前面の二関節筋である大腿直筋と膝関節の一関節伸筋の2筋であり,これにより,大腿直筋の平行リンク機構が体幹を引き止め,膝関節の一関節伸筋の駆動力のみで立ち上がりを可能にしていることが明らかとなった.ここでは,高齢者の立ち上がり動作の筋活動,床反力の変化と姿勢変化を計測し,体幹重心が鉛直上にある立ち上がり動作の主働筋2筋の活動と比較・検証をおこなった. その結果,初期姿勢から重心を前方に移動する相では体幹を前傾させるために大腿部前面の二関節筋である大腿直筋と膝関節の一関節伸筋である内側広筋の筋活動が確認できた.また,大腿部前面の二関節筋である大腿直筋と膝関節の一関節伸筋である内側広筋の2筋に関しては立ち上がり動作中,常に筋活動が確認できた.床反力を確認すると常に体幹の重心方向へ向いていることが明らかとなった.大腿直筋が平行リンク化することにより,体幹の慣性力と下肢の動きを連動させていることが伺えた. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.310_2 |