ラマン分光顕微鏡を用いた患者由来組織のラベルフリー脂質イメージング技術の開発
ラマン顕微分光法は、非標識の生体組織を対象に、非破壊・非侵襲で脂質イメージングを行うことができる。しかし、生体組織中に集光した光源レーザーの焦点容積の内部は、数多くの分子が混在した複雑な環境であり、測定スペクトルは複数の分子由来の信号の重ね合わせとなる。ここで、測定信号を個別の分子由来の信号に分解することは一般に、陽に解くことのできない不定性のある問題となる。この問題を解くために、本研究では、光学的方法・統計学的解析手法・生化学的手法を組み合わせて、ラマン分光顕微鏡を用いたラベルフリー脂質イメージング技術を開発した。本技術は、測定信号の分子特異性を最大化するために、低波数領域のラマンスペクトル...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual61; no. Abstract; p. 133_1 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2023
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Summary: | ラマン顕微分光法は、非標識の生体組織を対象に、非破壊・非侵襲で脂質イメージングを行うことができる。しかし、生体組織中に集光した光源レーザーの焦点容積の内部は、数多くの分子が混在した複雑な環境であり、測定スペクトルは複数の分子由来の信号の重ね合わせとなる。ここで、測定信号を個別の分子由来の信号に分解することは一般に、陽に解くことのできない不定性のある問題となる。この問題を解くために、本研究では、光学的方法・統計学的解析手法・生化学的手法を組み合わせて、ラマン分光顕微鏡を用いたラベルフリー脂質イメージング技術を開発した。本技術は、測定信号の分子特異性を最大化するために、低波数領域のラマンスペクトル測定技術・独立成分分析を用いた線形信号分解手法・組織の脱脂を用いた検体前処理法の3つの要素技術を組み合わせて用いる。開発技術を用いて、ファブリー病患者の末梢神経組織のイメージングを行い、末梢神経の神経周膜組織に異常蓄積したglobotriaoslyceramide脂質の分子特異的な可視化を行った。本手法は、患者由来の生検組織や剖検組織など、あらかじめ脂質標識を施すことができない生体組織の脂質イメージングに適している。また、末梢神経以外の組織にも適用が可能であり、汎用の脂質イメージング技術としての応用が期待できる。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.133_1 |