高齢がん患者に対する手術療法と栄養療法 ③膵がん手術

高齢化社会を迎えている本邦において膵がん患者数は増加の一途をたどっており、日常診療では高齢膵がん患者を切除する機会も増えてきている。高齢膵がん患者に対して切除を企図する場合には膵切除のリスクと膵がんの予後のリスクを鑑みて患者にbenefitがあるかどうかを慎重に判断して決定する必要がある。近年の手術手技やデバイスの進歩にも関わらず膵切除は高い死亡リスクを伴った手術であるが、患者の併存疾患も含めて慎重な耐術能評価を行って切除適応があれば非高齢者と同等の安全性をもって手術は可能である。しかしながら膵がんはたとえ切除し得たとしても予後不良ながん腫であり、特に高齢者は非高齢者よりも切除後の予後は有意に...

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Published in日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 87 - 91
Main Authors 山添, 定明, 田村, 達郎, 永原, 央, 木村, 健二郎, 花山, 佳子, 大平, 豪, 大平, 雅一, 天野, 良亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 2019
Subjects
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ISSN2189-0161
2189-017X
DOI10.11244/jspen.34.87

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Summary:高齢化社会を迎えている本邦において膵がん患者数は増加の一途をたどっており、日常診療では高齢膵がん患者を切除する機会も増えてきている。高齢膵がん患者に対して切除を企図する場合には膵切除のリスクと膵がんの予後のリスクを鑑みて患者にbenefitがあるかどうかを慎重に判断して決定する必要がある。近年の手術手技やデバイスの進歩にも関わらず膵切除は高い死亡リスクを伴った手術であるが、患者の併存疾患も含めて慎重な耐術能評価を行って切除適応があれば非高齢者と同等の安全性をもって手術は可能である。しかしながら膵がんはたとえ切除し得たとしても予後不良ながん腫であり、特に高齢者は非高齢者よりも切除後の予後は有意に不良である。予後を改善するには術前から術後まで良好な全身状態を保つ必要があり、そのためには外科医のみならず糖尿病内科医、在宅医、栄養士、理学療法士等の多職種がチームとなって患者の栄養管理をはじめとする術前後の長期的な継続的サポートをすることが重要である。
ISSN:2189-0161
2189-017X
DOI:10.11244/jspen.34.87