入浴時ヒートショックの体質的リスク評価のための冷温熱刺激装置の開発と血管径自動計測ソフトウェアの検討

本邦では、ヒートショック(HS)が一因とされる入浴時死亡者数が1年間で1万9千人と推測され、入浴中おける死亡が非常に大きな社会問題となっている。しかし、入浴時HSの原因とされる血圧変動に大きな影響を与える末梢血管の運動性を評価できる装置等は開発されておらず、HSの体質的な危険性が評価できていない。そこで、本研究ではHSの体質的な危険性を評価するための冷温熱刺激装置を作製し、さらに末梢血管の運動性(直径変動)を計測できるソフトウェアを検討した。冷温熱刺激装置はペルチェ素子と温調機能付きの電源により構築され、本装置上に手掌を置くことで冷温熱刺激を負荷できるように作製した。また、血管径計測ソフトウェ...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 309_1
Main Authors 高橋, 大志, 松尾, 仁司, 児玉, 直樹, 高橋, 真悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.309_1

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Summary:本邦では、ヒートショック(HS)が一因とされる入浴時死亡者数が1年間で1万9千人と推測され、入浴中おける死亡が非常に大きな社会問題となっている。しかし、入浴時HSの原因とされる血圧変動に大きな影響を与える末梢血管の運動性を評価できる装置等は開発されておらず、HSの体質的な危険性が評価できていない。そこで、本研究ではHSの体質的な危険性を評価するための冷温熱刺激装置を作製し、さらに末梢血管の運動性(直径変動)を計測できるソフトウェアを検討した。冷温熱刺激装置はペルチェ素子と温調機能付きの電源により構築され、本装置上に手掌を置くことで冷温熱刺激を負荷できるように作製した。また、血管径計測ソフトウェアは、熱刺激中の手指血管を近赤外線で経時的に透過撮影し、それで得られた複数枚の静止画中の任意の血管部分を選択した後、2値化、膨張収縮処理を実行することで同一部位の血管径を自動的に計測できるようにした。熱刺激装置の性能を評価した結果、無負荷条件では10~40℃の範囲で設定通りの温度制御が実行され、入浴時の寒暖差を模擬できる性能を確認した。また、本装置を実験者に適用した結果、無負荷での性能評価実験と同様に温度制御できたことが確認された。また、ソフトウェアの評価では血管径の計測が実行できた例もあったが計測不可例も確認されたため、今後は画像処理条件等を検討する必要がある。本研究はJSPS科研費JP22K12946の助成を受けた。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.309_1