治療前CTと放射線治療線量分布を用いた顎骨骨髄炎発症予測

顎骨壊死(ORNJ)は,放射線療法(RT)を受けた頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)患者に認められる最も重篤な晩期合併症の一つである.治療前にORNJのリスクを予測することができれば,治療方法のさらなる最適化やORNの早期徴候のモニタリングが可能になるため,ORNJの予測は大きな関心を集めている問題である.ORNJの発症率は低く,大量の患者データを収集することは困難である.そのため本研究では,放射線治療前のCT画像とRT線量分布を入力データとして用いたAnoGANによる異常検出によりORNJの発症の有無を予測する.神戸大学医学部附属病院で収集された患者データ486名(ORNJ発症58名, ORNJ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 260_1
Main Authors 盛田, 健人, 田中, 雄大, 宮脇, 大輔, 佐々木, 良平, 矢田, 隆一, 窪田, 光, 若林, 哲史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.260_1

Cover

More Information
Summary:顎骨壊死(ORNJ)は,放射線療法(RT)を受けた頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)患者に認められる最も重篤な晩期合併症の一つである.治療前にORNJのリスクを予測することができれば,治療方法のさらなる最適化やORNの早期徴候のモニタリングが可能になるため,ORNJの予測は大きな関心を集めている問題である.ORNJの発症率は低く,大量の患者データを収集することは困難である.そのため本研究では,放射線治療前のCT画像とRT線量分布を入力データとして用いたAnoGANによる異常検出によりORNJの発症の有無を予測する.神戸大学医学部附属病院で収集された患者データ486名(ORNJ発症58名, ORNJ非発症428名)のデータを用いて実験を行い,ROC-AUC 0.72とF値0.64の精度でORNJの発症を予測できることを確認した.ResNet50による2クラス分類精度(F値0.51)との比較から異常検知の有効性を示した.また,CT画像のみで学習したAnoGANの予測精度(ROC-AUC 0.53, F値0.68)との比較からはRT線量分布がORNJの発症予測に有用であることが確認できた.これらの予測精度は実用に足るものではないため,今後は,顎骨の含まれないスライスの除外や,ORNJ危険因子に関する臨床情報を組み込んだ予測などによりさらなる精度の向上を図る必要がある.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.260_1