子宮全摘術後の経腟小腸脱に対して経腟と腹腔鏡下の同時併用アプローチにより腟断端閉鎖を行った2症例

子宮全摘術後の腟断端離開による小腸脱は,まれな術後合併症であるが,近年増加傾向にあるといわれている。今回われわれが経験した症例1は,70歳女性で,膀胱癌のため,1年2ヵ月前にロボット手術下で膀胱全摘術,子宮全摘術,回腸導管造設術を施行された。3日前に腟脱の診断でペッサリーを挿入されたが,その後,違和感を主訴に受診し,経腟小腸脱の嵌頓状態と診断された。症例2は,43歳女性で,5ヵ月前に卵巣腫瘍で開腹下に子宮全摘術,両側付属器切除術を施行された。受診2日前に性交渉後,腹痛を主訴に受診,経腟小腸脱嵌頓状態と診断された。2例とも腹腔鏡下での観察により,腸管切除は施行せず,腟断端の修復を行った。はじめに...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 549 - 552
Main Authors 吉村, 雪野, 多賀谷, 信美, 松下, 公治, 鈴木, 淳一, 鈴木, 淳平, 八木, 隆太, 古谷, 未央子, 黒崎, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
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Summary:子宮全摘術後の腟断端離開による小腸脱は,まれな術後合併症であるが,近年増加傾向にあるといわれている。今回われわれが経験した症例1は,70歳女性で,膀胱癌のため,1年2ヵ月前にロボット手術下で膀胱全摘術,子宮全摘術,回腸導管造設術を施行された。3日前に腟脱の診断でペッサリーを挿入されたが,その後,違和感を主訴に受診し,経腟小腸脱の嵌頓状態と診断された。症例2は,43歳女性で,5ヵ月前に卵巣腫瘍で開腹下に子宮全摘術,両側付属器切除術を施行された。受診2日前に性交渉後,腹痛を主訴に受診,経腟小腸脱嵌頓状態と診断された。2例とも腹腔鏡下での観察により,腸管切除は施行せず,腟断端の修復を行った。はじめに経腟的に気腹し,腹腔内を観察することで,嵌頓解除後の腸管の状態の把握および腟断端修復時の腹腔内外からの安全な縫合閉鎖の確認ができ,経腟と腹腔鏡下の同時併用アプローチは有用な方法と思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.549