大腸憩室出血286例の検討

【目的】大腸憩室出血の治療成績を検討し,手術の適応を明らかにすること。【対象と方法】2008年3月から2017年12月まで憩室出血のため入院した286例中,出血部位を同定できた110例を内科的治療群74例と手術群36例に分け,患者背景,臨床所見を比較検討した。また手術群36例の治療成績を検討した。【結果】両群で抗血栓薬,NSAIDs内服では有意差を認めず,手術群では有意に脳梗塞既往が多かった。出血部位は両群とも上行結腸がもっとも多く,次にS状結腸が多かった。総輸血単位数は手術群で有意に多かった。手術理由は内視鏡的止血困難,頻回出血,大量出血の順に多く手術時間中央値103.5分,出血量30mLだ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 6; pp. 403 - 407
Main Authors 田中, 祐介, 金岡, 祐次, 前田, 敦行, 高山, 祐一, 高橋, 崇真, 桐山, 宗泰, 清板, 和昭, 伊藤, 喜介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2021
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Summary:【目的】大腸憩室出血の治療成績を検討し,手術の適応を明らかにすること。【対象と方法】2008年3月から2017年12月まで憩室出血のため入院した286例中,出血部位を同定できた110例を内科的治療群74例と手術群36例に分け,患者背景,臨床所見を比較検討した。また手術群36例の治療成績を検討した。【結果】両群で抗血栓薬,NSAIDs内服では有意差を認めず,手術群では有意に脳梗塞既往が多かった。出血部位は両群とも上行結腸がもっとも多く,次にS状結腸が多かった。総輸血単位数は手術群で有意に多かった。手術理由は内視鏡的止血困難,頻回出血,大量出血の順に多く手術時間中央値103.5分,出血量30mLだった。術後合併症(C-D grade>2)は10例で認め在院死亡は認めなかった。【結語】現時点での手術適応は内視鏡的止血困難,頻回出血,大量出血であり,今後手術への明確な適応判断基準やエビデンス発信が待たれる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.6_403