小児医療における医師の患児への説明と治療の意思決定者に関する研究

小児医療では,両親から治療の同意を得るが,患児へも説明をし,了解を得ることが必要である。しかし,その際に患児と何を話し合うか,患児と両親の意向が異なる場合の対応について,一定の見解は得ていない。本研究は,これらの点について実態を明らかにすることを目的とした。質問紙では,説明における配慮事項や提供する情報,患児と両親の意向が異なる事例における治療の意思決定者について設問した。対象は,小児がん拠点病院において小児がんを扱う診療科に所属する常勤医師であり,52人(回収率83.9%)から回答を得た。結果,患児の意思を尊重する場合,結論を迫らないこと。両親の意思を尊重する場合,7歳で配慮事項としてプライ...

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Published in日本医療・病院管理学会誌 Vol. 51; no. 4; pp. 193 - 201
Main Authors 芥川, 麻衣子, 渡辺, 美智子, 髙木, 安雄, 前田, 正一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療・病院管理学会 2014
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Summary:小児医療では,両親から治療の同意を得るが,患児へも説明をし,了解を得ることが必要である。しかし,その際に患児と何を話し合うか,患児と両親の意向が異なる場合の対応について,一定の見解は得ていない。本研究は,これらの点について実態を明らかにすることを目的とした。質問紙では,説明における配慮事項や提供する情報,患児と両親の意向が異なる事例における治療の意思決定者について設問した。対象は,小児がん拠点病院において小児がんを扱う診療科に所属する常勤医師であり,52人(回収率83.9%)から回答を得た。結果,患児の意思を尊重する場合,結論を迫らないこと。両親の意思を尊重する場合,7歳で配慮事項としてプライバシーへの配慮,共感的な態度で接すること,提供する情報として行為のリスク。医療者の判断とする場合,15歳で配慮事項として威圧的でないこと,提供する情報として,治療による生活や将来への影響を重視する特徴が見られた。
ISSN:1882-594X
2185-422X
DOI:10.11303/jsha.51.193