脳血管疾患の都道府県別疾病負担の算出

高齢化の更なる進行は,医療需要に地域差をもたらす。そうした情勢下,地域ごとの医療ニーズを,実際に医療を受ける地域社会の側に立って推計することは,医療政策の立案等に寄与すると考えられる。本研究では,都道府県ごとの疾病による社会的負担を,Cost of illness法(以下COI法)を用いて,官庁統計から算出する方法を確立した。脳血管疾患(ICD-10:I60-I69)について算出したところ,都道府県ごとの一人当たりCOIは平均23,086円,最大値は鹿児島県の34,831円,最小値は滋賀県の16,504円であった。COIの各要素にも都道府県ごとの差異があった。さらに,脳血管疾患COIの多寡に関...

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Published in日本医療・病院管理学会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 165 - 172
Main Authors 北澤, 健文, 長濵, 誉佳, 長谷川, 友紀, 平田, 幸輝, 松本, 邦愛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療・病院管理学会 2019
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ISSN1882-594X
2185-422X
DOI10.11303/jsha.56.165

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Summary:高齢化の更なる進行は,医療需要に地域差をもたらす。そうした情勢下,地域ごとの医療ニーズを,実際に医療を受ける地域社会の側に立って推計することは,医療政策の立案等に寄与すると考えられる。本研究では,都道府県ごとの疾病による社会的負担を,Cost of illness法(以下COI法)を用いて,官庁統計から算出する方法を確立した。脳血管疾患(ICD-10:I60-I69)について算出したところ,都道府県ごとの一人当たりCOIは平均23,086円,最大値は鹿児島県の34,831円,最小値は滋賀県の16,504円であった。COIの各要素にも都道府県ごとの差異があった。さらに,脳血管疾患COIの多寡に関連する社会的因子を重回帰分析で解析・検討したところ,平均在院日数などとの間で相関が認められた。平均在院日数を1/6短縮すると,直接費用については計算上16.2%の削減に繋がりうることが示唆された。
ISSN:1882-594X
2185-422X
DOI:10.11303/jsha.56.165