茨城県涸沼の塩性湿地における絶滅危惧種ジュズカケハゼの仔稚魚の季節的出現と食性
2011年4月から2012年3月に涸沼の塩性湿地の湿地内部のクリークと湿地前縁において小型地曳網による定量採集を行い,絶滅危惧種ジュズカケハゼの仔稚魚の季節的な出現と食性を調べた。調査期間中に採集された本種は,仔稚魚を中心とした計1,425個体(体長5-55 mm)であった。本種の仔稚魚は4月から6月にかけて主にクリークで出現した後,クリーク内で徐々に成長し,12月には最小成熟サイズ(体長42 mm)に達した。一方,調査期間中に湿地前縁では仔稚魚は極めて稀にしか出現せず,成魚は全く出現しなかった。クリーク内での仔稚魚の主要な餌は,成長に伴ってカラヌス・キクロプス類からユスリカ類幼虫やアミ類へと...
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Published in | 水産増殖 Vol. 70; no. 1; pp. 65 - 73 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
日本水産増殖学会
20.04.2022
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ISSN | 0371-4217 2185-0194 |
DOI | 10.11233/aquaculturesci.70.65 |
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Summary: | 2011年4月から2012年3月に涸沼の塩性湿地の湿地内部のクリークと湿地前縁において小型地曳網による定量採集を行い,絶滅危惧種ジュズカケハゼの仔稚魚の季節的な出現と食性を調べた。調査期間中に採集された本種は,仔稚魚を中心とした計1,425個体(体長5-55 mm)であった。本種の仔稚魚は4月から6月にかけて主にクリークで出現した後,クリーク内で徐々に成長し,12月には最小成熟サイズ(体長42 mm)に達した。一方,調査期間中に湿地前縁では仔稚魚は極めて稀にしか出現せず,成魚は全く出現しなかった。クリーク内での仔稚魚の主要な餌は,成長に伴ってカラヌス・キクロプス類からユスリカ類幼虫やアミ類へと変化した。したがって,本種は初期生活史を通して塩性湿地クリーク内に留まり,そこが本種の餌転換の場としても機能している可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0371-4217 2185-0194 |
DOI: | 10.11233/aquaculturesci.70.65 |