ネグレクト・心理的虐待事例における児童相談所の一時保護の判断に関する質的研究

本研究では,ネグレクト・心理的虐待事例においてどのように児童相談所が一時保護の判断をしているのかを明らかにすることを目的とした.16名の児童相談所職員にインタビューを実施し,得られたデータは構造構成主義的質的研究法(SCQRM)をメタ研究法とした修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析を行った.その結果,【緊急一時保護の必要性】【子どもに生じている悪影響】【家族の改善可能性】からなるモデルが構築された.本研究より,児童相談所におけるネグレクト・心理的虐待事例への対応は,【緊急一時保護の必要性】の判断から始まるという点では,他の虐待種別と変わらないことがわかった.しかし...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in子ども家庭福祉学 Vol. 22; pp. 56 - 68
Main Authors 千賀, 則史, 山田, 麻紗子, 渡邊, 忍, 姜, 民護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本子ども家庭福祉学会 25.11.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1347-183X
2758-2280
DOI10.57489/jscfw.22.0_56

Cover

More Information
Summary:本研究では,ネグレクト・心理的虐待事例においてどのように児童相談所が一時保護の判断をしているのかを明らかにすることを目的とした.16名の児童相談所職員にインタビューを実施し,得られたデータは構造構成主義的質的研究法(SCQRM)をメタ研究法とした修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析を行った.その結果,【緊急一時保護の必要性】【子どもに生じている悪影響】【家族の改善可能性】からなるモデルが構築された.本研究より,児童相談所におけるネグレクト・心理的虐待事例への対応は,【緊急一時保護の必要性】の判断から始まるという点では,他の虐待種別と変わらないことがわかった.しかし,子どもの危害がそれほど顕在化していないネグレクト・心理的虐待事例では,児童相談所は,【子どもに生じている悪影響】と【家族の改善可能性】の両方のバランスを丁寧にアセスメントすることで,一時保護を行うかどうかの判断をしていることが示唆された.
ISSN:1347-183X
2758-2280
DOI:10.57489/jscfw.22.0_56