人工呼吸器における吸気ガスの相対湿度検証−加湿デバイスの開発に向けて

気道にチューブを挿入する人工呼吸器においては吸気ガスを加湿する必要があり, 米国呼吸療法学会の推奨レベルは相対湿度100%である. しかし, 臨床では患者に流入する直前の相対湿度は測定されておらず, 湿度の評価は患者口元に位置する呼吸回路(カテーテルマウント)に結露があるかを確認し, 結露があれば吸気ガスの水蒸気量が飽和水蒸気量に達しているという理論に基づいて, 相対湿度100%の評価を間接的に行っている. そこで, 本研究では, 新たな加湿デバイスの開発に向けて, 現行の加湿デバイスが相対湿度100%を供給できているかを検証するため吸気ガスの相対湿度を測定した. 方法は, 多くの加湿デバイス...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 243_2
Main Authors 小髙, 勇士, 鶴田, 友加里, 保多, 隆裕, 加藤, 博史, 石原, 宗太朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.243_2

Cover

More Information
Summary:気道にチューブを挿入する人工呼吸器においては吸気ガスを加湿する必要があり, 米国呼吸療法学会の推奨レベルは相対湿度100%である. しかし, 臨床では患者に流入する直前の相対湿度は測定されておらず, 湿度の評価は患者口元に位置する呼吸回路(カテーテルマウント)に結露があるかを確認し, 結露があれば吸気ガスの水蒸気量が飽和水蒸気量に達しているという理論に基づいて, 相対湿度100%の評価を間接的に行っている. そこで, 本研究では, 新たな加湿デバイスの開発に向けて, 現行の加湿デバイスが相対湿度100%を供給できているかを検証するため吸気ガスの相対湿度を測定した. 方法は, 多くの加湿デバイスに用いられているPass-over型の加温加湿器と熱線付き呼吸回路を用いて実験回路を作成し, 加温加湿器を一般的な温度(チャンバー出口37℃, Yピース40℃)に設定して, 人工呼吸器の1回換気量500mL, 呼吸回数15回/min, 酸素濃度50%, 室温23~25℃の環境下において吸気ガスの相対湿度および温度を測定した. なお, 測定は温度が安定した後の30分間とし, 測定間隔は1秒とした(n=1800サンプル). 結果, カテーテルマウントにおいて結露を認めたが, カテーテルマウントでの相対湿度は平均81.4%(標準偏差0.8%), 温度は平均33.6℃(標準偏差0.1℃)だった. このことから, 結露の有無は相対湿度の評価指標としては不十分なことが示唆され, 現行の加湿デバイスは理想的な湿度を提供できていない可能性がある.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.243_2