自壊した皮膚からの腫瘍出血に対し血管内塞栓術が有用であった乳癌の1例

症例は55歳,女性.1年前から左乳腺腫瘤を自覚し放置していたが,腫瘤から出血するようになり近医より当院へ紹介受診した.初診時,左C領域に皮膚自壊を伴う15cm大の腫瘤を認め,著明な貧血を認めた.左乳腺腫瘤に対して針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断.CT・骨シンチグラフィの所見より,cT4bN1M0;Stage IIIBの診断で術前化学療法を施行する方針とした.しかし,腫瘍からの出血が継続し化学療法継続が困難であったため,止血目的に血管内塞栓術を施行することとした.腋窩動脈・外側胸動脈・内胸動脈からの分枝に対して塞栓術施行すると,腫瘍からの出血は消失し腫瘍が明らかに縮小した.外来で術前化学療法継...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 4; pp. 523 - 527
Main Authors 石原, 博雅, 柴田, 有宏, 岡本, 果南, 村上, 弘城, 出口, 智宙, 高瀬, 恒信, 亀井, 誠二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は55歳,女性.1年前から左乳腺腫瘤を自覚し放置していたが,腫瘤から出血するようになり近医より当院へ紹介受診した.初診時,左C領域に皮膚自壊を伴う15cm大の腫瘤を認め,著明な貧血を認めた.左乳腺腫瘤に対して針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断.CT・骨シンチグラフィの所見より,cT4bN1M0;Stage IIIBの診断で術前化学療法を施行する方針とした.しかし,腫瘍からの出血が継続し化学療法継続が困難であったため,止血目的に血管内塞栓術を施行することとした.腋窩動脈・外側胸動脈・内胸動脈からの分枝に対して塞栓術施行すると,腫瘍からの出血は消失し腫瘍が明らかに縮小した.外来で術前化学療法継続した後,左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清+植皮術を施行.術後化学療法,術後放射線治療も安全に施行できた.腫瘍出血に対し血管内塞栓術が有用であった1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.523