下顎に発生した小児線維腫症の1例

線維腫症は被膜形成の無い線維芽細胞の増殖を示し, 局所浸潤性があるためしばしば局所再発するが転移はない腫瘍性病変である. 病理組織学的には, 線維腫症は良性の所見を示すが, 局所浸潤性格から良性腫瘍と悪性腫瘍の境界病変と考えられている. 線維腫症の発生母地としては骨格筋あるいは骨格筋に近接する筋膜・腱膜・骨膜が想定されている1. 全身的にみると線維腫症は妊婦あるいは妊娠後の女性の腹壁に生じることが多く(腹壁線維腫症), これ以外のものを腹壁外線維腫症と分類するが, その中でも口腔に発生する線維腫症の発生頻度は少ない1, 2. 腹壁外線維腫症が小児期に発生した場合, 急速に発育して浸潤性が強い傾...

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Published in歯科放射線 Vol. 41; no. 1; pp. 45 - 51
Main Authors 伊藤, 寿介, 小林, 富貴子, 高木, 律男, 檜木, あゆみ, 朔, 敬, 林, 孝文, 平, 周三, 今井, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 30.03.2001
日本歯科放射線学会
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ISSN0389-9705
2185-6311
DOI10.11242/dentalradiology1960.41.45

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Summary:線維腫症は被膜形成の無い線維芽細胞の増殖を示し, 局所浸潤性があるためしばしば局所再発するが転移はない腫瘍性病変である. 病理組織学的には, 線維腫症は良性の所見を示すが, 局所浸潤性格から良性腫瘍と悪性腫瘍の境界病変と考えられている. 線維腫症の発生母地としては骨格筋あるいは骨格筋に近接する筋膜・腱膜・骨膜が想定されている1. 全身的にみると線維腫症は妊婦あるいは妊娠後の女性の腹壁に生じることが多く(腹壁線維腫症), これ以外のものを腹壁外線維腫症と分類するが, その中でも口腔に発生する線維腫症の発生頻度は少ない1, 2. 腹壁外線維腫症が小児期に発生した場合, 急速に発育して浸潤性が強い傾向があるため, 成人の線維腫症とは別に小児線維腫症(infantile fibromatosis1, juvenile fibromatosis3, 4, 7)に分類されることが多い. 今回, われわれは下顎歯槽部に生じた小児線維腫症のまれな1例を経験したので報告する.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology1960.41.45