前十字靭帯不全膝の生体内機能評価

膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament,ACL)は,膝関節において大腿骨と脛骨を結ぶ主要四靱帯の一つであり,脛骨内側顆間隆起部と大腿骨顆間窩外側壁に付着している.ACLは主に前内側線維束(AM束)と後外側線維束(PL束)の2つの線維束から構成され,両線維束が適切な張力を維持することで,大腿骨に対する脛骨の前後移動や回旋の安定性を保つ機能を果たしている.一方,ACLの外傷頻度は高く,ジャンプ着地や急激な方向転換により膝関節が外反・内旋した場合に損傷・断裂することが多い.ACL不全膝では大腿骨に対する脛骨の内旋制動作用が低下することが知られており,ACLの再建手術時には...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 147_1
Main Authors 渡邊, 聡, 坂本, 信, 髙橋, 雄也, 小林, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.147_1

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Summary:膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament,ACL)は,膝関節において大腿骨と脛骨を結ぶ主要四靱帯の一つであり,脛骨内側顆間隆起部と大腿骨顆間窩外側壁に付着している.ACLは主に前内側線維束(AM束)と後外側線維束(PL束)の2つの線維束から構成され,両線維束が適切な張力を維持することで,大腿骨に対する脛骨の前後移動や回旋の安定性を保つ機能を果たしている.一方,ACLの外傷頻度は高く,ジャンプ着地や急激な方向転換により膝関節が外反・内旋した場合に損傷・断裂することが多い.ACL不全膝では大腿骨に対する脛骨の内旋制動作用が低下することが知られており,ACLの再建手術時にはこの回旋制動作用を再獲得する必要があると考えられるが,実際にACL不全膝でどのように回旋挙動が変化しているか詳細は不明である.本研究では内旋および外旋トルク(2.9 Nm)負荷時のACL不全膝と対側健常膝の回旋量を,伸展位から屈曲40°までの範囲で比較することでACLの回旋制動作用について検討した.その結果,回旋量はACL不全膝,健常膝ともに屈曲に伴い増加した.全ての屈曲角度において,ACL不全膝の回旋量は健常膝と比較して増加せず,屈曲20°において有意に減少した.脛骨に対し,大腿骨は伸展位で内旋トルクを加えた場合のみ,ACL不全膝が有意に後方に位置した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.147_1