パッチ画像を用いたCNNによる頭部thickスライスCT画像からの階層的脳内出血領域抽出法

脳血管疾患の一つである脳内出血(ICH: intracerebral hematoma)は,脳卒中全体の約18%を占める,高い死亡率と深刻な後遺症リスクを伴う疾患である.ICHのコンピュータ診断支援として,ICH領域の自動抽出による体積,形状,位置の評価が有効である.ICH領域抽出の従来法の多くはsemantic segmentationに基づいており,ICHと同様の高CT値を有する脳室内出血(IVH: intraventricular hemorrhage)の誤抽出が懸念される.本研究では,ICHとIVHの画像特徴の違いをより詳細に評価するため,Coarse segmentationとFin...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 202_1
Main Authors 飯原, 弘二, 永澤, 朗, 藤田, 大輔, 渡辺, 翔吾, 連, 乃駿, 小橋, 昌司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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Summary:脳血管疾患の一つである脳内出血(ICH: intracerebral hematoma)は,脳卒中全体の約18%を占める,高い死亡率と深刻な後遺症リスクを伴う疾患である.ICHのコンピュータ診断支援として,ICH領域の自動抽出による体積,形状,位置の評価が有効である.ICH領域抽出の従来法の多くはsemantic segmentationに基づいており,ICHと同様の高CT値を有する脳室内出血(IVH: intraventricular hemorrhage)の誤抽出が懸念される.本研究では,ICHとIVHの画像特徴の違いをより詳細に評価するため,Coarse segmentationとFine classificationの2段階によるICH領域抽出法を提案する.第1段階のCoarse segmentationでは,U-NetによるSemantic segmentationによりICHとIVHで構成される高吸収領域を抽出する.第2段階のFine classificationでは,高吸収領域内の各ボクセルを,イメージパッチを用いたCNNによりICHとIVHに識別する.イメージパッチを用いたCNN識別を用いることで,問題を単純化し,入力データ数の増加により精度向上を期待する.提案法を評価するため,ICHを有する被験者471例に適用した.Coarse segmentationでは,U-Netの特徴抽出バックボーンとして,VGG16 ,VGG19,Resnet152を比較し,Fine classificationではVGG16を使用した.実験結果から,Coarse segmentationでは,Resnet152が最も優れ,テストデータにおける高吸収領域の抽出精度は,Precisionが91.2%,Recallが92.3%,F値が90.9%であった.また,Coarse segmentationで得られた高吸収領域に対してFine classificationを適用した結果,テストデータにおけるICHの抽出精度は,Precisionが83.2%,Recallが84.6%,F値が82.3%であった.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.202_1