皮下埋め込み型中心静脈ポート造設後創部リンパ漏

目的:皮下埋め込み型中心静脈ポート(以下CVポート)造設後の創部リンパ漏に関する検討は,これまで報告されていない.今回,その実態の把握と発症予測を目的に検討を行った.方法:2016年4月から2020年8月に当科でCVポートを留置した160例を対象とした(前胸部群80例,上腕群80例).患者背景,栄養状態,合併症について後方視的に検討を行った.結果:CVポート造設後のリンパ漏は前胸部群では1例も認めなかったが,上腕群で6例(7.5%)に認めた.上腕群をリンパ漏発症群6例と非発症群74例に分けて臨床学的因子の検討を行うと,リンパ漏発症群で有意に年齢が高く,BMI・PNIは低値であった.リンパ漏は全...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 4; pp. 673 - 678
Main Authors 米盛, 圭一, 日高, 敬文, 吉留, 伸郎, 大塚, 隆生, 原口, 優清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:目的:皮下埋め込み型中心静脈ポート(以下CVポート)造設後の創部リンパ漏に関する検討は,これまで報告されていない.今回,その実態の把握と発症予測を目的に検討を行った.方法:2016年4月から2020年8月に当科でCVポートを留置した160例を対象とした(前胸部群80例,上腕群80例).患者背景,栄養状態,合併症について後方視的に検討を行った.結果:CVポート造設後のリンパ漏は前胸部群では1例も認めなかったが,上腕群で6例(7.5%)に認めた.上腕群をリンパ漏発症群6例と非発症群74例に分けて臨床学的因子の検討を行うと,リンパ漏発症群で有意に年齢が高く,BMI・PNIは低値であった.リンパ漏は全例保存的に消失したが,消失まで2カ月以上要した症例もあった.結論:上腕へのCVポート作成の際は術後リンパ漏の可能性を念頭に置き,特に高齢で栄養状態不良の症例の場合はより丁寧な造設操作を心掛ける必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.673