脳膿瘍治療中にメトロニダゾール誘発性脳症を呈した1例

脳膿瘍は, 頭蓋内占拠性病変として手術の適応ともなるが, 基本的に抗菌薬治療が主体である. 一般的には第三世代セフェム系抗菌薬が用いられ, 嫌気性菌をカバーする目的でメトロニダゾールの併用が推奨されている. その一方で, 抗菌薬治療の長期化に伴いメトロニダゾール誘発性脳症の合併例が報告されている. 今回われわれは, 小脳に発生した脳膿瘍に対し排膿術と抗菌薬治療を行い, メトロニダゾール誘発性脳症を合併した1例を経験した. メトロニダゾール誘発性脳症は比較的まれであるが, 適応拡大に伴う今後の増加が予想され, われわれ脳神経外科医もその危険性を知っておくべきと思われる. 本例の臨床所見を提示し,...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 33; no. 5; pp. 348 - 354
Main Authors 梶原, 収功, 岡本, 右滋, 森岡, 基浩, 宮城, 尚久, 濵本, 裕太, 中嶋, 大介, 吉富, 宗健, 赤司, 一義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経外科コングレス 2024
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.33.348

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Summary:脳膿瘍は, 頭蓋内占拠性病変として手術の適応ともなるが, 基本的に抗菌薬治療が主体である. 一般的には第三世代セフェム系抗菌薬が用いられ, 嫌気性菌をカバーする目的でメトロニダゾールの併用が推奨されている. その一方で, 抗菌薬治療の長期化に伴いメトロニダゾール誘発性脳症の合併例が報告されている. 今回われわれは, 小脳に発生した脳膿瘍に対し排膿術と抗菌薬治療を行い, メトロニダゾール誘発性脳症を合併した1例を経験した. メトロニダゾール誘発性脳症は比較的まれであるが, 適応拡大に伴う今後の増加が予想され, われわれ脳神経外科医もその危険性を知っておくべきと思われる. 本例の臨床所見を提示し, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.33.348