S 状結腸憩室穿通に対するハルトマン手術後に発生した鼠径ヘルニア囊膿瘍の1 例

症例は両側鼠径ヘルニア術後の56 歳男性で,左下腹部痛を主訴に当院受診した。身体所見では左下腹部に圧痛を認め,左鼠径部から陰囊に達する手拳大の再々発ヘルニアを認めた。血液検査では炎症反応の上昇を認め,腹部造影CT でS 状結腸を中心に脂肪織濃度の上昇と腸間膜内に微細な遊離ガスを認めた。S 状結腸憩室穿通による汎発性腹膜炎と診断し,ハルトマン手術および洗浄ドレナージ術を施行した。左鼠径ヘルニアのヘルニア門は大きく,修復術は行わなかった。術後,発熱と炎症反応が持続し,左陰囊の腫大・硬結を認めた。術後7 日目に再度腹部造影CT を施行したところ,左鼠径ヘルニア囊内に遺残膿瘍を認めた。局所麻酔下で陰囊...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 469 - 472
Main Authors 川本, 潤一郎, 藤田, 晃司, 三浦, 弘志, 北郷, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2022
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Summary:症例は両側鼠径ヘルニア術後の56 歳男性で,左下腹部痛を主訴に当院受診した。身体所見では左下腹部に圧痛を認め,左鼠径部から陰囊に達する手拳大の再々発ヘルニアを認めた。血液検査では炎症反応の上昇を認め,腹部造影CT でS 状結腸を中心に脂肪織濃度の上昇と腸間膜内に微細な遊離ガスを認めた。S 状結腸憩室穿通による汎発性腹膜炎と診断し,ハルトマン手術および洗浄ドレナージ術を施行した。左鼠径ヘルニアのヘルニア門は大きく,修復術は行わなかった。術後,発熱と炎症反応が持続し,左陰囊の腫大・硬結を認めた。術後7 日目に再度腹部造影CT を施行したところ,左鼠径ヘルニア囊内に遺残膿瘍を認めた。局所麻酔下で陰囊を切開し,ドレナージを施行してフィルム型ドレーンを3 本留置した。その後,発熱や炎症反応は著明に改善し,術後29 日目に退院となった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.469