新型コロナウイルス感染症合併直腸穿孔の1例

症例は79歳,女性。腹痛を主訴に前医を受診し新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019:以下,COVID-19)合併直腸穿孔,敗血症と診断された。COVID-19による医療提供体制が逼迫した状況で,患者は前医を含む複数の高度医療実施機関で治療困難として緩和ケア依頼で過疎地域病院の当院へ搬送された。当院ではCOVID-19患者への手術は困難であったが保存治療で全身状態を安定させ,隔離解除後に腹腔鏡下人工肛門造設術を施行した。隔離解除は「COVID-19診療の手引き」の退院基準に準拠したが,直腸穿孔に起因すると考えられた発熱によりCOVID-19症状軽快の判断が困...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; pp. 897 - 900
Main Authors 平野, 雅子, 大森, 隆夫, 畑中, 友秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2023
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は79歳,女性。腹痛を主訴に前医を受診し新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019:以下,COVID-19)合併直腸穿孔,敗血症と診断された。COVID-19による医療提供体制が逼迫した状況で,患者は前医を含む複数の高度医療実施機関で治療困難として緩和ケア依頼で過疎地域病院の当院へ搬送された。当院ではCOVID-19患者への手術は困難であったが保存治療で全身状態を安定させ,隔離解除後に腹腔鏡下人工肛門造設術を施行した。隔離解除は「COVID-19診療の手引き」の退院基準に準拠したが,直腸穿孔に起因すると考えられた発熱によりCOVID-19症状軽快の判断が困難となった。COVID-19と増悪時に発熱をきたす疾患を合併した症例に隔離解除後の手術を検討する際,COVID-19症状を慎重に観察し病原体検査を用いた隔離解除が早期の手術実施に重要と考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.897