対側に不顕性大腿ヘルニアを併存し用手的整復後に腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した左大腿ヘルニア嵌頓の1例
症例は60歳台の女性。昼食後より腹部全体に痛みを認め近医受診し,左鼠径部ヘルニアを指摘され精査,加療目的で夕方に当科へ紹介となった。腹部全体に自発痛,軽度の圧痛を認め,左鼠径靭帯よりも尾側にやや弾性硬の鶏卵大の膨隆を認めた。前医での腹部単純CT検査では左大腿ヘルニア脱出および右大腿ヘルニアを認めた。臨床所見ともあわせて左大腿ヘルニア嵌頓および右不顕性大腿ヘルニアと診断した。明らかな腸管壊死を示唆する所見は認めなかったため,まず用手的整復を行った。整復後,腹痛は軽減し,翌日,開腹法や両側前方到達法と比較し低侵襲で同一創での修復が可能な腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal prep...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 7; pp. 871 - 874 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2024
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.44.871 |
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Summary: | 症例は60歳台の女性。昼食後より腹部全体に痛みを認め近医受診し,左鼠径部ヘルニアを指摘され精査,加療目的で夕方に当科へ紹介となった。腹部全体に自発痛,軽度の圧痛を認め,左鼠径靭帯よりも尾側にやや弾性硬の鶏卵大の膨隆を認めた。前医での腹部単純CT検査では左大腿ヘルニア脱出および右大腿ヘルニアを認めた。臨床所見ともあわせて左大腿ヘルニア嵌頓および右不顕性大腿ヘルニアと診断した。明らかな腸管壊死を示唆する所見は認めなかったため,まず用手的整復を行った。整復後,腹痛は軽減し,翌日,開腹法や両側前方到達法と比較し低侵襲で同一創での修復が可能な腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal approach:TAPP)を施行した。術後経過は良好で,術後第5病日に退院となった。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.44.871 |