人的要因の工夫で摘出し得た直腸異物の1例

症例は68歳男性,20XX年4月に自慰目的でバイブレーターを肛門より挿入し抜去不能となったため当科紹介受診となった。CT検査で直径4cm,高さ18cmのバイブレーターを認めた。救急外来で用手的摘出を試みるが摘出できず鉗子類を使用するも把持困難と判断し,全身状態が安定していたため翌日全身麻酔下砕石位での抜去を試みることとした。手術室で内視鏡,X線透視準備のもと高砕石位として下肢挙上,股関節を屈曲させ腹部を圧迫した状態で用手的に摘出を試みたが,摘出困難であった。さらに内視鏡で異物の位置を確認し鉗子で把持を試みたが,円筒状のため把持困難で摘出できなかった。最終的にX線透視下で外科医指示のもと手掌の小...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 709 - 712
Main Authors 久保山, 侑, 鈴木, 修司, 島崎, 二郎, 下田, 貢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2022
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は68歳男性,20XX年4月に自慰目的でバイブレーターを肛門より挿入し抜去不能となったため当科紹介受診となった。CT検査で直径4cm,高さ18cmのバイブレーターを認めた。救急外来で用手的摘出を試みるが摘出できず鉗子類を使用するも把持困難と判断し,全身状態が安定していたため翌日全身麻酔下砕石位での抜去を試みることとした。手術室で内視鏡,X線透視準備のもと高砕石位として下肢挙上,股関節を屈曲させ腹部を圧迫した状態で用手的に摘出を試みたが,摘出困難であった。さらに内視鏡で異物の位置を確認し鉗子で把持を試みたが,円筒状のため把持困難で摘出できなかった。最終的にX線透視下で外科医指示のもと手掌の小さい他科医師に依頼し用手的摘出に成功した。合併症を認めず術後第3病日で退院となった。直腸異物は摘出困難なことも経験されるため,文献的考察を含め報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.709