山形県における過去15年間の慢性硬膜下血腫の動向
慢性硬膜下血腫 (CSDH) は脳神経外科領域で最も多く診療する疾患の1つであり, 高齢者に多くみられる. 本研究では高齢化の進行している山形県において慢性硬膜下血腫の過去の動向を調査し, 今後の展望を予測することを目的とした. 対象は2004~2018年に県内で入院加療を行った4,096例のCSDHの患者で, 入院時平均年齢76.5歳であった. 2004~2018年にかけて発症率は17.3から35.9人/10万人/年, 発症時の平均年齢は74.2歳から78.4歳と上昇していた. 予後不良であるmRS 3~6の割合は全体では退院時あるいは1カ月後に18.4%であったが, 入院時mRS 0~2に...
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Published in | 脳神経外科ジャーナル Vol. 31; no. 3; pp. 181 - 187 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0917-950X 2187-3100 |
DOI | 10.7887/jcns.31.181 |
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Summary: | 慢性硬膜下血腫 (CSDH) は脳神経外科領域で最も多く診療する疾患の1つであり, 高齢者に多くみられる. 本研究では高齢化の進行している山形県において慢性硬膜下血腫の過去の動向を調査し, 今後の展望を予測することを目的とした. 対象は2004~2018年に県内で入院加療を行った4,096例のCSDHの患者で, 入院時平均年齢76.5歳であった. 2004~2018年にかけて発症率は17.3から35.9人/10万人/年, 発症時の平均年齢は74.2歳から78.4歳と上昇していた. 予後不良であるmRS 3~6の割合は全体では退院時あるいは1カ月後に18.4%であったが, 入院時mRS 0~2においては退院時mRS 3~6の割合は0.7%であった. 一方で, 入院時mRS 3~6では退院時mRS 3~6の割合は27.7%で, 入院時mRS 0~2と比較して有意に高かった. 以上より, CSDHは経時的に発症率と発症年齢が上昇しており, 入院時mRSが予後に強く関与することが明らかになった. |
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ISSN: | 0917-950X 2187-3100 |
DOI: | 10.7887/jcns.31.181 |