肝細胞癌に対するAtezolizumab+Bevacizumab併用療法中のCOVID-19肺炎後に発症したirAE肺障害の1例

アルコール性肝硬変の70歳代男性.糖尿病で通院中に肝腫瘍を指摘され,X-1年5月に当科紹介,多発肝細胞癌の診断でatezolizumab+bevacizumab併用療法が導入された.16コース投与後に発熱とSpO2 88%へ低下し,CTで両肺の胸膜直下にすりガラス影と網状影を認めた.SARS-CoV-2陽性が判明しCOVID-19肺炎と診断した.レムデシビルの投与で改善したが第14病日に発熱が出現,第28病日の胸部CTで両肺にすりガラス影が出現,気管支肺胞洗浄でTリンパ球を多数認めirAE肺障害(Grade 3)と診断した.ステロイドパルス療法後は速やかに解熱し,すりガラス影も著明に改善した....

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Published in肝臓 Vol. 66; no. 2; pp. 39 - 46
Main Authors 大竹, 晋, 田村, ゆき穂, 室, 和希, 林, 秀美, 中嶋, 駿介, 藤谷, 幹浩, 麻生, 和信, 澤田, 康司, 長谷部, 拓夢, 太田, 雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.02.2025
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.66.39

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Summary:アルコール性肝硬変の70歳代男性.糖尿病で通院中に肝腫瘍を指摘され,X-1年5月に当科紹介,多発肝細胞癌の診断でatezolizumab+bevacizumab併用療法が導入された.16コース投与後に発熱とSpO2 88%へ低下し,CTで両肺の胸膜直下にすりガラス影と網状影を認めた.SARS-CoV-2陽性が判明しCOVID-19肺炎と診断した.レムデシビルの投与で改善したが第14病日に発熱が出現,第28病日の胸部CTで両肺にすりガラス影が出現,気管支肺胞洗浄でTリンパ球を多数認めirAE肺障害(Grade 3)と診断した.ステロイドパルス療法後は速やかに解熱し,すりガラス影も著明に改善した.COVID-19肺炎とirAE肺障害には病態の共通点があり,画像上の類似性,相互作用による重症化が示唆され,今後の症例の蓄積により両疾患の病態解明およびirAEマネジメントの一助になると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.66.39