4年以上の無再発生存が得られた多嚢胞性腹膜中皮腫の3例

症例1は50歳,女性.卵巣腫瘍に対して手術を施行.腹膜偽粘液腫が疑われ,当院へ紹介.当院で開腹手術を施行し,遺残病変を切除し多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断された.術後10年無再発生存中である.症例2は55歳,女性.腹膜偽粘液腫が疑われ,当院を紹介受診.審査腹腔鏡にて多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断した.腹膜切除と術中温熱化学療法を施行し,術後5年無再発生存中である.症例3は53歳,女性.胃小彎側の嚢胞性病変の経過観察中に嚢胞の破裂を認め,腹膜偽粘液腫が疑われ当院を紹介受診.審査腹腔鏡を施行し,多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断した.腹膜切除と温熱化学療法を施行し,術後4年無再発生存中である.画像診断困難な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 1; pp. 152 - 157
Main Authors 今神, 透, 塩見, 一徳, 安, 炳九, 高尾, 信行, 水本, 明良, 米村, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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Summary:症例1は50歳,女性.卵巣腫瘍に対して手術を施行.腹膜偽粘液腫が疑われ,当院へ紹介.当院で開腹手術を施行し,遺残病変を切除し多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断された.術後10年無再発生存中である.症例2は55歳,女性.腹膜偽粘液腫が疑われ,当院を紹介受診.審査腹腔鏡にて多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断した.腹膜切除と術中温熱化学療法を施行し,術後5年無再発生存中である.症例3は53歳,女性.胃小彎側の嚢胞性病変の経過観察中に嚢胞の破裂を認め,腹膜偽粘液腫が疑われ当院を紹介受診.審査腹腔鏡を施行し,多嚢胞性腹膜中皮腫と病理診断した.腹膜切除と温熱化学療法を施行し,術後4年無再発生存中である.画像診断困難な腹腔内嚢胞に対しては,審査腹腔鏡は有用であった.病変の完全切除と術中温熱化学療法,腹腔内の大量洗浄により長期無再発を得ることができた.特に,腹腔内に広範に病変を認める場合は腹膜切除による根治切除が推奨される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.152