小腸穿孔を伴う子宮広間膜裂孔ヘルニア嵌頓に対して腹腔鏡下手術を施行した1例

症例は80歳,女性。腹痛を主訴に当院を受診。虫垂炎術後の癒着性腸閉塞の診断でイレウス管留置による保存的治療を試みたが腸閉塞の改善を認めなかったため,腹腔鏡下腸閉塞解除術を施行した。右子宮広間膜に異常裂孔を認め,小腸が嵌頓,一部穿孔していた。子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断で裂孔の開放,小腸切除を行った。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな内ヘルニアとされているが近年報告が蓄積されてきており,腹腔鏡下手術の報告も相次いでいる。しかし腸閉塞の原因疾患としてはまれであるためいまだに鑑別疾患にあげられないことも多く,裂孔の処理方法など施設ごとに方針も異なる。手術時期の遅れにより腸管切除が必要となる割合も高い疾患...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 745 - 747
Main Author 島田, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2024
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.745

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Summary:症例は80歳,女性。腹痛を主訴に当院を受診。虫垂炎術後の癒着性腸閉塞の診断でイレウス管留置による保存的治療を試みたが腸閉塞の改善を認めなかったため,腹腔鏡下腸閉塞解除術を施行した。右子宮広間膜に異常裂孔を認め,小腸が嵌頓,一部穿孔していた。子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断で裂孔の開放,小腸切除を行った。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな内ヘルニアとされているが近年報告が蓄積されてきており,腹腔鏡下手術の報告も相次いでいる。しかし腸閉塞の原因疾患としてはまれであるためいまだに鑑別疾患にあげられないことも多く,裂孔の処理方法など施設ごとに方針も異なる。手術時期の遅れにより腸管切除が必要となる割合も高い疾患であるが,特徴的なCT所見を有しており術前診断の一助となる。本疾患に対して腹腔鏡手術を行い救命し得た症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.745