本邦ならびに当科における造血幹細胞移植とその周辺

本邦の同種造血幹細胞移植(Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation: Allo HSCT) は年間3,600 例を超える勢いで増加しており,これまでに初回造血幹細胞移植例では約71,000 例が実施されている.21 世紀に入りAllo HSCT 症例においては,それまでヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA) の一致ドナーの存在が原則とされていたが,過去5 年間においてはハプロ移植と呼ばれるHLA 不一致症例も多数行われるようになってきた.当科の全移植症例数は1986 年の1 例目以降自家末梢血幹細胞...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 209 - 212
Main Author 小林, 寿美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2015
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Summary:本邦の同種造血幹細胞移植(Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation: Allo HSCT) は年間3,600 例を超える勢いで増加しており,これまでに初回造血幹細胞移植例では約71,000 例が実施されている.21 世紀に入りAllo HSCT 症例においては,それまでヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA) の一致ドナーの存在が原則とされていたが,過去5 年間においてはハプロ移植と呼ばれるHLA 不一致症例も多数行われるようになってきた.当科の全移植症例数は1986 年の1 例目以降自家末梢血幹細胞移植(Autologous peripheral blood stem cell transplantation: APBSCT) とAllo HSCT を合計すると約400 例に達した.付随する移植免疫の研究の進歩により,多くの免疫抑制療法が試みられている.新たな移植後免疫療法であるpost-CY (post transplantation cyclophosphamide: PT-CY) 治療などは当科を含めて多くの施設で試みられているところである.またAllo HSCT には健常ドナーの存在が必須であり,非血縁者間移植の中心となる骨髄バンクとしての機能評価はとりもなおさず移植医療のactivity そのものを表す.当科はすべての機能評価において認定施設にも指定されていることから今後も患者病院とドナー受け入れ施設の両面で今後も積極的貢献を行ってゆく.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.74.5_209