症例報告のためのCAREガイドライン
症例報告は医学の進歩に欠くことのできない研究様式の一つである。 特に新しい疾患や稀な疾患に関する医学的情報の集積、 また治療的介入の有益性や安全性の評価においても重要な役割を果たす。 さらに、 症例報告は新たな研究仮説を生み出す契機になると同時に、 医療者にとって実践的な教育的ツールとしても高く評価されている。 しかし、 一部の症例報告には必要な情報が十分に記載されておらず、 その不完全さや透明性の欠如が、 読者に誤解を与える可能性がある。 こうした課題に対応するため、 2013年に症例報告のための報告ガイドラインであるCARE (CAse REport) ガイドラインが作成され、 症例報告の...
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Published in | 全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 93 - 102 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 全日本鍼灸学会
01.02.2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-9955 1882-661X |
DOI | 10.3777/jjsam.75.93 |
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Summary: | 症例報告は医学の進歩に欠くことのできない研究様式の一つである。 特に新しい疾患や稀な疾患に関する医学的情報の集積、 また治療的介入の有益性や安全性の評価においても重要な役割を果たす。 さらに、 症例報告は新たな研究仮説を生み出す契機になると同時に、 医療者にとって実践的な教育的ツールとしても高く評価されている。 しかし、 一部の症例報告には必要な情報が十分に記載されておらず、 その不完全さや透明性の欠如が、 読者に誤解を与える可能性がある。 こうした課題に対応するため、 2013年に症例報告のための報告ガイドラインであるCARE (CAse REport) ガイドラインが作成され、 症例報告の完全性と透明性を向上させるための基準が示された。 CAREガイドラインは、 各分野の症例報告において重要な報告事項を網羅しており、 これに基づいて報告することで情報の完全性を確保し、 透明性の高い発信が可能になる。 しかし、 未だ国内でのCAREガイドラインの認知度や普及状況は十分でないように思われる。 そこで、 本稿ではCAREの各項目を紹介し、 特に鍼灸分野における適用について解説を加えた。 今後、 鍼灸に関連する症例報告においてもCAREガイドラインが広く活用され、 報告の質が向上し、 より信頼性の高い情報提供がなされることを期待する。 |
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ISSN: | 0285-9955 1882-661X |
DOI: | 10.3777/jjsam.75.93 |