長野県における在宅人工呼吸療法の現状
【背景】全国と同様に,長野県でも,在宅気管切開下人工呼吸(以下TPPV)に加え,1998年から非侵襲的陽圧人工呼吸(以下NPPV)が普及したが,これら在宅人工呼吸療法(以下HMV)の実態は明らかにされていない.そこで,2015年度にHMVの実態調査を実施し,療養改善に繋がる課題を探索した. 【方法】県内HMVプロバイダーに,患者数・地域調査を,医療機関・訪問看護ステーション・介護施設にアンケート郵送法による調査を行った. 【結果】2015年2月の長野県内HMV数は,NPPVが310例,TPPVは151例であった.NPPVの対象疾患としては心不全が増加傾向であり,TPPVの対象疾患としては神経筋...
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Published in | 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 Vol. 26; no. 1; pp. 78 - 84 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
30.04.2016
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Subjects | |
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ISSN | 1881-7319 2189-4760 |
DOI | 10.15032/jsrcr.26.1_78 |
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Summary: | 【背景】全国と同様に,長野県でも,在宅気管切開下人工呼吸(以下TPPV)に加え,1998年から非侵襲的陽圧人工呼吸(以下NPPV)が普及したが,これら在宅人工呼吸療法(以下HMV)の実態は明らかにされていない.そこで,2015年度にHMVの実態調査を実施し,療養改善に繋がる課題を探索した. 【方法】県内HMVプロバイダーに,患者数・地域調査を,医療機関・訪問看護ステーション・介護施設にアンケート郵送法による調査を行った. 【結果】2015年2月の長野県内HMV数は,NPPVが310例,TPPVは151例であった.NPPVの対象疾患としては心不全が増加傾向であり,TPPVの対象疾患としては神経筋疾患,脳症を多く認めた.訪問看護ステーションでは,NPPVの対象疾患として,COPD,心不全,肺結核後遺症を多く認めた.患者・家族支援ネットワーク形成の進行は認めたが,HMV可能と回答が得られた介護施設は,43施設中3施設のみで,不可と回答した施設の理由として,「安全対策・電源対策への不安」が半数を占めていた.病院・訪問看護ステーションでは,「病診連携・医看連携・患者共有」不足が大きな問題であった. 【考察】介護・看護上の課題は多く,支援に結びつく登録・ケアシステムを検討し,HMVケアを十分に受けられる環境を整備する必要がある. |
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ISSN: | 1881-7319 2189-4760 |
DOI: | 10.15032/jsrcr.26.1_78 |