大気質モデルを用いた2010年度の日本における硝酸塩濃度に対する発生源寄与解析
2010年度の日本を対象に大気質モデルCMAQおよびゼロアウト法を用いて、微小粒子状物質の主要成分の一つである硝酸塩について、国外 (中国、インドを含む東アジア地域) の人為起源 (Long-range transport: LRT)、国内人為起源およびバックグラウンド (境界流入・自然起源) の寄与を推計した。特に、国外人為起源寄与は国外からの粒子輸送によるもの (Direct LRT) と、国外起源前駆物質と国内起源前駆物質との粒子化によるもの (Indirect LRT) に区別して寄与を推計した。大気質モデルはPM2.5および主要成分 (NH4+、NO3−等) の観測値と比較して良好な...
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Published in | 大気環境学会誌 Vol. 53; no. 3; pp. 88 - 99 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 大気環境学会
10.05.2018
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Subjects | |
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ISSN | 1341-4178 2185-4335 |
DOI | 10.11298/taiki.53.88 |
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Summary: | 2010年度の日本を対象に大気質モデルCMAQおよびゼロアウト法を用いて、微小粒子状物質の主要成分の一つである硝酸塩について、国外 (中国、インドを含む東アジア地域) の人為起源 (Long-range transport: LRT)、国内人為起源およびバックグラウンド (境界流入・自然起源) の寄与を推計した。特に、国外人為起源寄与は国外からの粒子輸送によるもの (Direct LRT) と、国外起源前駆物質と国内起源前駆物質との粒子化によるもの (Indirect LRT) に区別して寄与を推計した。大気質モデルはPM2.5および主要成分 (NH4+、NO3−等) の観測値と比較して良好な再現性を示し、前駆物質 (NH3、HNO3、NO2) についても、一部、過小評価したものの、季節変動は良好に再現した。自動車NOx・PM法対策地域 (首都圏、愛知・三重圏、大阪・兵庫圏) および九州北部圏の4地域を対象に発生源・越境輸送の感度解析を実施した結果、Direct LRTの寄与は西日本 (九州北部圏、大阪・兵庫圏) で大きく、国内人為起源寄与は首都圏で最大となる一方、Indirect LRT寄与は地域差が少なかった。また、前駆物質に対する発生源寄与推計結果から、国外排出起源のHNO3と国内排出起源のNH3との粒子化が主要因であることを明らかにした。Indirect LRT寄与の越境汚染は、国内のNH3規制で抑制できる可能性がある。 |
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ISSN: | 1341-4178 2185-4335 |
DOI: | 10.11298/taiki.53.88 |