集団平均心拍数を用いた暑熱負担評価法の提案

地球温暖化による夏季の気温上昇に伴い,熱中症の死傷者数は増加傾向にある.熱中症の発生を防ぐためには,核心温の上昇を抑制することが重要となる.核心温とは,体の内部の温度であり,脳や心臓などの重要な臓器の機能を正常に保つために,通常はほぼ一定に維持されている.核心温の評価には直腸温が広く用いられており,暑熱負荷を表す指標としても活用されてきた.とはいえ,職場などの実世界において直腸温を計測することは難しい.先行研究において,直腸温の代替指標として心拍数の活用が提案されているが,心拍数と核心温の関係には個人差が大きく,個人差の補正が課題として残されていた.すなわち,心拍数は体調,運動強度,情動により...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 204_2
Main Authors 清野, 健, 上田, 裕斗, 重松, 大輝, 金子, 美樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.204_2

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Summary:地球温暖化による夏季の気温上昇に伴い,熱中症の死傷者数は増加傾向にある.熱中症の発生を防ぐためには,核心温の上昇を抑制することが重要となる.核心温とは,体の内部の温度であり,脳や心臓などの重要な臓器の機能を正常に保つために,通常はほぼ一定に維持されている.核心温の評価には直腸温が広く用いられており,暑熱負荷を表す指標としても活用されてきた.とはいえ,職場などの実世界において直腸温を計測することは難しい.先行研究において,直腸温の代替指標として心拍数の活用が提案されているが,心拍数と核心温の関係には個人差が大きく,個人差の補正が課題として残されていた.すなわち,心拍数は体調,運動強度,情動により変化することから,心拍数のみから個人の核心温を高い精度で推定することは難しい.一方で,個人ではなく集団に注目すれば,心拍数と直腸温のそれぞれの集団平均は,統計的な収束性から強く相関することが期待できる.本研究では,複数人の安静時の心拍数と直腸温を計測し,それらデータに基づき心拍数と直腸温のそれぞれの集団平均の関係を評価した.ここでは,心拍数と直腸温の集団平均の関係について回帰直線を推定し,この関係式を用いて,複数人の心拍数計測に基づく集団平均直腸温の推定法を提案する.推定された集団平均直腸温は,暑熱負荷の指標として活用可能である.講演では,このアプローチの妥当性について議論する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.204_2