水腎症を伴った鼠径部膀胱ヘルニアの1例

症例は77歳の男性.排尿困難・右腰背部痛を主訴に他院を救急受診し,右鼠径ヘルニアと診断され,加療目的に当科へ紹介となった.CT所見で右外鼠径ヘルニアを認め,右陰嚢まで膀胱が脱出し右尿管も牽引され右水腎症を呈していた.また,ヘルニア嚢内には回腸も脱出していた.今回われわれは,本症例に対して手術開始前に尿管ステントを留置の上,TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法を施行した.術後6カ月,排尿障害も改善し再発なく経過している.鼠径部膀胱ヘルニアは成人鼠径ヘルニアの1-4%に認められると報告されている.尿管まで脱出し水腎症を合併した症例報告は稀である.これ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 952 - 956
Main Authors 池西, 一海, 福本, 晃久, 江尻, 剛気, 三宅, 佳乃子, 青松, 幸雄, 中島, 祥介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は77歳の男性.排尿困難・右腰背部痛を主訴に他院を救急受診し,右鼠径ヘルニアと診断され,加療目的に当科へ紹介となった.CT所見で右外鼠径ヘルニアを認め,右陰嚢まで膀胱が脱出し右尿管も牽引され右水腎症を呈していた.また,ヘルニア嚢内には回腸も脱出していた.今回われわれは,本症例に対して手術開始前に尿管ステントを留置の上,TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法を施行した.術後6カ月,排尿障害も改善し再発なく経過している.鼠径部膀胱ヘルニアは成人鼠径ヘルニアの1-4%に認められると報告されている.尿管まで脱出し水腎症を合併した症例報告は稀である.これまでに尿管まで滑脱した鼠径部膀胱ヘルニアをTAPP法で手術した報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.952