水溶性二相系(Aqueous Two Phase System)を用いた細胞組織構築法の基礎技術開発

再生医療において,臓器の再生構築をするには細胞を組織として構築する必要がある.しかし,一般にイメージされる心臓などの様な大きさを持つ臓器の構築を行うのは困難とされている.そこで本研究では,二次元的な細胞パターニング技術として提案されてきた水溶性二相系(Aqueous Two Phase System, ATPS)法を応用し,新規な細胞組織構築技術の開発を行う.ATPS法は細胞を常にウェットな状態で扱えるためダメージが少なく,溶媒を介して分子シグナリングを確保できるといった優れた特徴を持つ.この二相((1)Dextran(DEX)相,(2)Polyethylene glycol(PEG)相)に分...

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Published in生体医工学 Vol. Annual57; no. Abstract; p. S80_2
Main Authors 井上, 聡, 矢口, 俊之, 住倉, 博仁, 大越, 康晴, 荒船, 龍彦, 本間, 章彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
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Summary:再生医療において,臓器の再生構築をするには細胞を組織として構築する必要がある.しかし,一般にイメージされる心臓などの様な大きさを持つ臓器の構築を行うのは困難とされている.そこで本研究では,二次元的な細胞パターニング技術として提案されてきた水溶性二相系(Aqueous Two Phase System, ATPS)法を応用し,新規な細胞組織構築技術の開発を行う.ATPS法は細胞を常にウェットな状態で扱えるためダメージが少なく,溶媒を介して分子シグナリングを確保できるといった優れた特徴を持つ.この二相((1)Dextran(DEX)相,(2)Polyethylene glycol(PEG)相)に分離する培養液(ATPS培養液)を用いて,DEX相の液滴内に細胞を懸濁させ,PEG相に浮遊させた状態を維持することにより細胞の凝集塊形成の実現可能性を評価した.マウス由来繊維芽細胞(NIH3T3)をDEX相で懸濁し,その細胞懸濁液10 [μL]をPEG相を培地として,チューブ型循環培養器内で4時間の浮遊培養を行った.その結果,DEX相内に直径200 [μm]程の細胞凝集塊が複数形成された.今後,この凝集塊の評価を行うとともに,本手法の開発を進め,新たな細胞組織構築法の確立を目指す.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S80_2