サーモグラフィカメラを用いた救急車内患者に対する呼吸数推定手法の検討

呼吸数測定手法としては,鼻腔における気流の変化を計測するカプノグラフィや呼吸に伴う胸郭変動を捉えることで呼吸を計測する接触式センサを用いる方法が挙げられる.通常カプノグラフィを用いた呼吸計測は重傷者を対象にしており,軽症者には胸郭変動による呼吸計測手法が取られるが,体動や患者の容態によっては装着や計測が困難である.そのため,救急現場では非接触に定量的な呼吸観察を行う手法は確立されていない.本研究では,救急車内での患者の呼吸観察を目的として,患者と観察者の負担を軽減する非接触的な呼吸計測手法を検討する.本研究では,救急車天井に設置したサーモグラフィカメラで患者の顔面を撮影して呼吸数を推定する.先...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 138_2
Main Authors 中田, 孝明, 安部, 隆三, 野村, 行弘, 阿部, 璃紗, 中口, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.138_2

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Summary:呼吸数測定手法としては,鼻腔における気流の変化を計測するカプノグラフィや呼吸に伴う胸郭変動を捉えることで呼吸を計測する接触式センサを用いる方法が挙げられる.通常カプノグラフィを用いた呼吸計測は重傷者を対象にしており,軽症者には胸郭変動による呼吸計測手法が取られるが,体動や患者の容態によっては装着や計測が困難である.そのため,救急現場では非接触に定量的な呼吸観察を行う手法は確立されていない.本研究では,救急車内での患者の呼吸観察を目的として,患者と観察者の負担を軽減する非接触的な呼吸計測手法を検討する.本研究では,救急車天井に設置したサーモグラフィカメラで患者の顔面を撮影して呼吸数を推定する.先行研究では,口や鼻の検出失敗を考慮した呼吸信号推定手法が提案されているが,患者の顔の向きを固定する必要があり,患者の体動が想定される救急現場には適していない.本研究では,胸郭変動により得られた呼吸信号を正解ラベルとしてCNNの学習を行い,患者の顔画像から呼吸信号を推定するモデルを作成した.提案手法ではフレーム毎に推定を行うため,患者の顔の動きに対応できると考えられる.推定呼吸信号から呼吸数を算出する手法に関して,救急現場で想定される呼吸状態を再現して評価実験を行った.実験の結果,先行研究と比較して推定誤差が低減し,呼吸数算出手法に関してはゼロクロス法が最適であることが示された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.138_2