FDG-PETを契機に診断できた肝細胞癌の骨髄転移の一例

症例は70歳代男性,B型肝炎ウイルスのキャリアであることを指摘されていたが医療機関への定期受診はされていなかった.発熱と倦怠感を主訴に前医を受診し,肝細胞癌と診断された.CTでは明らかな骨転移は指摘されなかったが,追加検査のFDG-PETでは骨皮質の破壊を伴わないものの骨髄内への集積増加を認めた.引き続き施行した骨髄生検では肝細胞癌の骨髄転移を認め,cStageIVBと診断した.レンバチニブによる治療を約9カ月間行ったが,口内炎や下痢,倦怠感の増悪により投与困難となり,治療開始10カ月目に死亡退院となった.PIVKA-II高値の症例では,CTで肝外転移が指摘されなくてもFDG-PETを追加施行...

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Published in肝臓 Vol. 63; no. 1; pp. 16 - 23
Main Authors 松谷, 直美, 横山, 雄一郎, 白築, 祥吾, 桑代, 紳哉, 沖田, 幸祐, 高見, 太郎, 坂井田, 功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.01.2022
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Summary:症例は70歳代男性,B型肝炎ウイルスのキャリアであることを指摘されていたが医療機関への定期受診はされていなかった.発熱と倦怠感を主訴に前医を受診し,肝細胞癌と診断された.CTでは明らかな骨転移は指摘されなかったが,追加検査のFDG-PETでは骨皮質の破壊を伴わないものの骨髄内への集積増加を認めた.引き続き施行した骨髄生検では肝細胞癌の骨髄転移を認め,cStageIVBと診断した.レンバチニブによる治療を約9カ月間行ったが,口内炎や下痢,倦怠感の増悪により投与困難となり,治療開始10カ月目に死亡退院となった.PIVKA-II高値の症例では,CTで肝外転移が指摘されなくてもFDG-PETを追加施行する意義がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.63.16