肢体不自由児における放課後等デイサービスの送迎環境と課題

背景: 放課後等デイサービスとは,児童福祉法に基づき,学校に就学している障害児が授業の終了後や休業日に利用できるものである.基本的な役割は,子どもの最善の利益の保障,共生社会の実現に向けた後方支援,保護者支援の3つである.2021年6月には,「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し,同年9月18日に施行された.この法律により,今まで以上に子どもたちの放課後支援の重要性が高まるといえる.目的: 送迎サービスが日々行われている中で,障害を持つ子どもを送迎することの難しさ, その現状と問題点について明らかにすることを目的とした.方法: 放課後等デイサービスで働き,送迎のドライバー...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 192_2
Main Authors 八講, 華帆, 小﨑, 慶介, 小谷, 博子, 後藤, 匠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.192_2

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Summary:背景: 放課後等デイサービスとは,児童福祉法に基づき,学校に就学している障害児が授業の終了後や休業日に利用できるものである.基本的な役割は,子どもの最善の利益の保障,共生社会の実現に向けた後方支援,保護者支援の3つである.2021年6月には,「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し,同年9月18日に施行された.この法律により,今まで以上に子どもたちの放課後支援の重要性が高まるといえる.目的: 送迎サービスが日々行われている中で,障害を持つ子どもを送迎することの難しさ, その現状と問題点について明らかにすることを目的とした.方法: 放課後等デイサービスで働き,送迎のドライバーを担当している職員5名に半構造化面接を行った. 結果・考察: 子どもによって下校時間が異なっている日もあり,送迎表が複雑化しているとわかった.二重三重確認をしても細かいミスが生まれ,トラブルや事故に繋がる可能性があると考えられる.福祉車両の問題として,車椅子固定装置はタイヤに対して縦向きに固定装置のベルトが付いているため,カーブなどの横揺れには弱いとわかった.頭を自分で支えられない子どもは,カーブの曲がった方向に首も曲がってしまい、曲がった体勢が維持されてしまう事例も明らかとなった.医療的ケア児など車椅子利用が増えることが示唆されるため、放課後等デイサービスの送迎環境の改善が今後の課題と言えるだろう.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.192_2