静岡県における胃癌標準化死亡比の地域差と食品・栄養摂取状況との関連
静岡県における胃癌標準化死亡比 (SMR) 低地域及び高地域の住民の食生活の差異を明らかにし, 胃癌SMRを低下させる食生活要因を検討するために, 両地域の35~69歳の住民 (男性407人, 女性391人) を対象に, 1982年秋に質問紙による食生活調査を行った。調査は, 4つの食品群 (1群: 乳・乳製品, 卵; 2群: 魚介類, 肉類, 豆類; 3群: 野菜類, いも類, 果物類; 4群: 穀物, 砂糖・甘味類, 油脂, 嗜好品類) 及び栄養素等摂取状況, 総摂取エネルギーに対するたん白質・脂質・糖質のエネルギー比率, 米飯・みそ汁・果物・牛乳・緑茶等の食品摂取頻度, 及びその他の身体...
Saved in:
Published in | 栄養学雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 133 - 144 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
1992
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5147 1883-7921 |
DOI | 10.5264/eiyogakuzashi.50.133 |
Cover
Summary: | 静岡県における胃癌標準化死亡比 (SMR) 低地域及び高地域の住民の食生活の差異を明らかにし, 胃癌SMRを低下させる食生活要因を検討するために, 両地域の35~69歳の住民 (男性407人, 女性391人) を対象に, 1982年秋に質問紙による食生活調査を行った。調査は, 4つの食品群 (1群: 乳・乳製品, 卵; 2群: 魚介類, 肉類, 豆類; 3群: 野菜類, いも類, 果物類; 4群: 穀物, 砂糖・甘味類, 油脂, 嗜好品類) 及び栄養素等摂取状況, 総摂取エネルギーに対するたん白質・脂質・糖質のエネルギー比率, 米飯・みそ汁・果物・牛乳・緑茶等の食品摂取頻度, 及びその他の身体的要因 (年齢, 身長, 体重, 労働強度, 職業等) について実施した。その結果, 胃癌SMR低地域では次のような特徴が明らかになった。 1) 胃癌SMR低地域の人々は高地域の人々より, 2・3群の食品摂取が多く, 特に果物, 野菜類をよく摂取していた。 2) 胃癌SMR低地域の人々は高地域の人々より, みそ汁の摂取頻度が多く, みそ汁中に多種類の具を使用していた。 3) 胃癌SMR低地域では, 茶の摂取状況と胃癌低危険因子と考えられている果物, 野菜, みそ汁等の食品摂取との間に正の相関が認められた。 以上より, 茶の摂取と胃癌低危険因子の食品摂取とが相互にかかわり合って, 胃癌SMRの低下に関連しているかもしれないという可能性がうかがわれた。 |
---|---|
ISSN: | 0021-5147 1883-7921 |
DOI: | 10.5264/eiyogakuzashi.50.133 |