再灌流療法を受けた急性心筋梗塞患者の入浴による生体反応

経皮的冠動脈形成術 (再灌流療法) を受けた成人の急性心筋梗塞患者 (AMI群 : 19名) と同年代の健常群 (19名) を対象に入浴時の生体反応を比較した.入浴は一般に安全といわれている手順を踏襲し,身体を洗う2分30秒間の前後に40℃の湯に3分間ずつ2回,第4肋間の高さまで浸かる方法 (総所要時間15分間) で行った.入浴の評価指標には血圧,心拍数,自律神経活性,口腔温,快適感 (VAS),Borg指数を用いたが,血圧をのぞくいずれの群間比較でも有意差を認めなかった.ところが,個々のデータを詳細に分析すると,1回目の入浴直後に収縮期血圧が30mmHg以上上昇したものは健常群では2名だった...

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 12; no. 1; pp. 63 - 73
Main Authors 深井, 喜代子, 肥後, すみ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 20.04.2013
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ISSN1349-5429
2423-8511
DOI10.18892/jsnas.12.1_63

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Summary:経皮的冠動脈形成術 (再灌流療法) を受けた成人の急性心筋梗塞患者 (AMI群 : 19名) と同年代の健常群 (19名) を対象に入浴時の生体反応を比較した.入浴は一般に安全といわれている手順を踏襲し,身体を洗う2分30秒間の前後に40℃の湯に3分間ずつ2回,第4肋間の高さまで浸かる方法 (総所要時間15分間) で行った.入浴の評価指標には血圧,心拍数,自律神経活性,口腔温,快適感 (VAS),Borg指数を用いたが,血圧をのぞくいずれの群間比較でも有意差を認めなかった.ところが,個々のデータを詳細に分析すると,1回目の入浴直後に収縮期血圧が30mmHg以上上昇したものは健常群では2名だったのに対して,AMI群では6名いた.また,血圧には著明な変動はなかったが,心室性期外収縮 (PVC) が増加したものがAMI群に3名いた.これらの患者はLown分類ではGrade2の比較的軽症のPVC判定であったが,左室駆出率に中等度障害があった.こうしたAMI患者にみられた入浴時の異常の原因は不明だが,少なくとも入浴前に入念に病態と循環動態を把握すること,そしてより安全な入浴方法を検討する必要があることが示唆された.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.12.1_63