S状結腸に滑入したスライディングチューブを腹腔鏡と内視鏡を併用し経肛門的に摘出した1例

症例は50歳台,女性。近医で下部消化管内視鏡検査を施行された際にスライディングチューブが腸管内に滑入したため当院に搬送された。CT検査では,S状結腸内にスライディングチューブが確認され,広範な後腹膜気腫を認めた。S状結腸まで滑入したスライディングチューブによる直腸穿通の診断で,緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察したところ,腹腔内に汚染や腸管損傷は認めなかった。内視鏡的にスライディングチューブ内に下部消化管拡張用バルーンカテーテルを挿入し,バルーンを膨張させるとスライディングチューブ内にバルーンが固定され,経肛門的に摘出できた。腹腔内観察では腸管損傷は認めず,摘出後に内視鏡で腸管内を観察すると,...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 611 - 614
Main Authors 松土, 昇平, 垣迫, 健介, 榎並, 延太, 髙野, 洋次郎, 向井, 俊平, 柴田, 耕暉, 岡田, 昌樹, 舘野, 桂, 竹原, 雄介, 小林, 弘明, 杉原, 黎, 石田, 文生, 澤田, 成彦, 駒井, 聡太, 中川, 美星子, 中原, 健太, 島田, 翔士, 関, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2024
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.611

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Summary:症例は50歳台,女性。近医で下部消化管内視鏡検査を施行された際にスライディングチューブが腸管内に滑入したため当院に搬送された。CT検査では,S状結腸内にスライディングチューブが確認され,広範な後腹膜気腫を認めた。S状結腸まで滑入したスライディングチューブによる直腸穿通の診断で,緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察したところ,腹腔内に汚染や腸管損傷は認めなかった。内視鏡的にスライディングチューブ内に下部消化管拡張用バルーンカテーテルを挿入し,バルーンを膨張させるとスライディングチューブ内にバルーンが固定され,経肛門的に摘出できた。腹腔内観察では腸管損傷は認めず,摘出後に内視鏡で腸管内を観察すると,上部直腸に深い裂傷を認め穿通部と考えられたため,クリップで縫縮を行った。腹腔鏡を併用し,内視鏡的にスライディングチューブを安全に摘出することができた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.611