海水移行後のサケ稚魚の摂餌量,成長および摂餌効率に及ぼす水温の影響

海洋生活初期のサケ稚魚の分布と成長は表面海水温の影響を強く受けることが知られ,適水温は 8~13℃とされる。しかし,水温がサケ稚魚の摂餌量や摂餌効率に与える影響に関する知見は少ない。本研究では北海道千歳川および知内川由来のサケ稚魚を 4~23℃の海水中で解凍アルテミアを飽食給餌飼育し,摂餌と成長に及ぼす水温の影響を調べた。サケ稚魚の摂餌量(FI),瞬間成長率(SGR),摂餌効率(FE)は水温の影響を大きく受けた。これらはいずれも低水温で低く,閾値を超えた高水温でも低下した。FI,SGR,FE の閾値水温は異なっており,それぞれ18℃,16℃,13℃と考えられた。高水温(18℃以上)では,蓄積栄...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in水産増殖 Vol. 70; no. 1; pp. 97 - 106
Main Author 虎尾, 充
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水産増殖学会 20.04.2022
Online AccessGet full text
ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.70.97

Cover

More Information
Summary:海洋生活初期のサケ稚魚の分布と成長は表面海水温の影響を強く受けることが知られ,適水温は 8~13℃とされる。しかし,水温がサケ稚魚の摂餌量や摂餌効率に与える影響に関する知見は少ない。本研究では北海道千歳川および知内川由来のサケ稚魚を 4~23℃の海水中で解凍アルテミアを飽食給餌飼育し,摂餌と成長に及ぼす水温の影響を調べた。サケ稚魚の摂餌量(FI),瞬間成長率(SGR),摂餌効率(FE)は水温の影響を大きく受けた。これらはいずれも低水温で低く,閾値を超えた高水温でも低下した。FI,SGR,FE の閾値水温は異なっており,それぞれ18℃,16℃,13℃と考えられた。高水温(18℃以上)では,蓄積栄養の指標となる筋肉中トリグリセリド含量と肝臓中のグリコーゲン含量も低下した。FE の最適温度(13℃)は,サケ稚魚の沿岸域での分布水温の上限と一致している可能性がある。
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.70.97