上腸間膜静脈血栓症を合併した急性壊疽性虫垂炎の1例

症例は14歳,女性.2日前からの下腹部痛と発熱を主訴に当院を受診した.腹部造影CTで急性虫垂炎と診断し,虫垂切除術を施行した.術後も発熱と炎症の改善がなく,術後4日目に造影CTを施行したところ,手術部位の膿瘍形成と上腸間膜静脈血栓症を認め,ヘパリン1万単位/日を開始した.この際に初診時のCTを見返したところ,既に上腸間膜静脈に血栓を形成していた.術後10日目に造影CTで肝左葉門脈内に血栓の進展を認めたが,肝機能異常は認めなかった.術後13日目にAPTTの十分な延長を得られず,リバーロキサバン(以下,RVX)内服を開始した.造影CTで血栓の変化はないものの,各種症状の新規出現もないためRVX内服...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 310 - 315
Main Authors 日比野, 佑弥, 金岡, 祐次, 前田, 敦行, 高山, 祐一, 高橋, 崇真, 青山, 広希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は14歳,女性.2日前からの下腹部痛と発熱を主訴に当院を受診した.腹部造影CTで急性虫垂炎と診断し,虫垂切除術を施行した.術後も発熱と炎症の改善がなく,術後4日目に造影CTを施行したところ,手術部位の膿瘍形成と上腸間膜静脈血栓症を認め,ヘパリン1万単位/日を開始した.この際に初診時のCTを見返したところ,既に上腸間膜静脈に血栓を形成していた.術後10日目に造影CTで肝左葉門脈内に血栓の進展を認めたが,肝機能異常は認めなかった.術後13日目にAPTTの十分な延長を得られず,リバーロキサバン(以下,RVX)内服を開始した.造影CTで血栓の変化はないものの,各種症状の新規出現もないためRVX内服を継続し,術後26日目に退院となった.退院後も血栓の消失は認めていない.術後半年でRVXの内服は終了し,経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.310