4T1マウス担癌モデルに対する局所高周波温熱療法の遠隔転移抑制効果
高周波温熱療法 (Radiofrequency hyperthermia, 以下RF) は悪性腫瘍の治療法として広く用いられ効果を上げている. 腫瘍の原発巣に対して温熱療法を行った症例の内, 転移巣の縮小を見る症例がある. 本研究ではマウスの担癌モデルを用いて, 局所温熱療法による原発巣および転移巣の抗腫瘍効果を検討したので報告する. 6週齢の雌BALB/cマウスの左下肢に4T1/lucマウス乳癌細胞を接種し, 8 MHzの高周波温熱治療器を用いて週2回, 3週間の温熱治療を行った. また別のモデルとして腫瘍細胞接種後7日目に腫瘍中心部にドキソルビシン (doxorubicin, 以下DXR)...
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Published in | Thermal Medicine Vol. 26; no. 1; pp. 19 - 29 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
2010
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ISSN | 1882-2576 1882-3750 |
DOI | 10.3191/thermalmed.26.19 |
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Summary: | 高周波温熱療法 (Radiofrequency hyperthermia, 以下RF) は悪性腫瘍の治療法として広く用いられ効果を上げている. 腫瘍の原発巣に対して温熱療法を行った症例の内, 転移巣の縮小を見る症例がある. 本研究ではマウスの担癌モデルを用いて, 局所温熱療法による原発巣および転移巣の抗腫瘍効果を検討したので報告する. 6週齢の雌BALB/cマウスの左下肢に4T1/lucマウス乳癌細胞を接種し, 8 MHzの高周波温熱治療器を用いて週2回, 3週間の温熱治療を行った. また別のモデルとして腫瘍細胞接種後7日目に腫瘍中心部にドキソルビシン (doxorubicin, 以下DXR) を注入し増殖を抑制したモデルを作成した. 原発巣の腫瘍体積および重量の計測と転移巣の評価を組織学的に行う方法と, ルシフェラーゼによる蛍光活性を測定し評価した. 担癌マウスで脾臓の腫大を認めたため, 脾臓細胞内のリンパ球構成をフローサイトメトリーを用いて調べた. 原発巣の腫瘍体積および重量は, RFを行った群とDXRを腫瘍内注入した群で共に抑制されていたが, 肺転移は組織学的評価と蛍光活性を用いた評価とも, RFを行った群でのみ抑制されていた. 今回の実験では肝転移は認められなかった. さらにRFを行った群では生存期間の有意な延長を認めた. 脾臓細胞内のリンパ球構成では, RFを行った群でNK細胞数の有意な増加を認めた. 以上の結果から高周波温熱療法単独で, 腫瘍の縮小および肺転移の抑制効果が見られ, 生存期間も有意に延長を認めた. その機序については脾臓内リンパ球のフローサイトメトリーの結果からNK細胞の関与が最も考えられた. |
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ISSN: | 1882-2576 1882-3750 |
DOI: | 10.3191/thermalmed.26.19 |