手指の末梢神経機能の定量評価に向けた触覚デバイスの提案

近年,糖尿病によって引き起こされる様々な合併症により,人々のQOLが低下してしまうことが世界中で問題となっている.QOLの低下を阻止するためにも,合併症の進行度を非侵襲・簡便・定量的に早期診断し,適切な治療と予防を施すことが求められている.このような背景の下で,足底皮膚に対して水平方向のわずかな引張刺激を用いて触覚の感覚閾値を計測し,神経機能を評価する手法が考案されている.この手法は,糖尿病に起因する合併症の中でも最初に発症するとされている,糖尿病性抹消神経障害の進行度を評価するのに有効であるとされているとともに,検査の非侵襲性・簡便性・定量性が確保されている.本研究では,臨床現場における当該...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 264_1
Main Authors 宇田, 卓正, 井野, 秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.264_1

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Summary:近年,糖尿病によって引き起こされる様々な合併症により,人々のQOLが低下してしまうことが世界中で問題となっている.QOLの低下を阻止するためにも,合併症の進行度を非侵襲・簡便・定量的に早期診断し,適切な治療と予防を施すことが求められている.このような背景の下で,足底皮膚に対して水平方向のわずかな引張刺激を用いて触覚の感覚閾値を計測し,神経機能を評価する手法が考案されている.この手法は,糖尿病に起因する合併症の中でも最初に発症するとされている,糖尿病性抹消神経障害の進行度を評価するのに有効であるとされているとともに,検査の非侵襲性・簡便性・定量性が確保されている.本研究では,臨床現場における当該機器のユーザビリティ向上を目指して,足底よりも検査の容易な手指の神経機能検査に特化した卓上型の触覚デバイスを提案する.このデバイスの特徴として,ヒトの手の構造,特に他の手指と対抗する母指の形状を考慮し,デバイスとすべての手指の指腹が常に自然な手関節肢位で接触する構造となっている.併せて,デバイスに装着した,引張刺激によって皮膚にずれを生じされる接触子の表面テクスチャを変化させた際の,手指の感覚閾値に与える影響について考察する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.264_1