イヌに対するハロセン, エンフルレン, イソフルレンおよびセボフルレンを用いた高濃度急速マスク導入法ならびにその循環呼吸機能に及ぼす影響

吸入麻酔薬によるイヌの高濃度急速マスク導入法 (Rapid Inhalation Induction ; RII) の有用性ならびにその時の循環呼吸器系に対する影響をビーグル犬24頭を用いて検討した. 各群6頭の犬に対し, ハロセン(Hal), エンフルレン(Enf), イソフルレン(Iso), セボフルレン(Sevo)を2.5MAC(minimum alveolar concentration ; 最小肺胞濃度) でRIIを行い, 導入時間, 導入時の体動等を比較するとともに, 種々の循環呼吸機能に関するパラメーターを測定した. その結果, 導入時間は血液ガス分配係数の順となり, Sevo群...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 57; no. 6; pp. 1007 - 1013
Main Authors 武藤, 達士, 西村, 亮平, 金, 輝律, 松永, 悟, 廉沢, 剛, 望月, 学, 佐々木, 伸雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1995
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Summary:吸入麻酔薬によるイヌの高濃度急速マスク導入法 (Rapid Inhalation Induction ; RII) の有用性ならびにその時の循環呼吸器系に対する影響をビーグル犬24頭を用いて検討した. 各群6頭の犬に対し, ハロセン(Hal), エンフルレン(Enf), イソフルレン(Iso), セボフルレン(Sevo)を2.5MAC(minimum alveolar concentration ; 最小肺胞濃度) でRIIを行い, 導入時間, 導入時の体動等を比較するとともに, 種々の循環呼吸機能に関するパラメーターを測定した. その結果, 導入時間は血液ガス分配係数の順となり, Sevo群が最も短く円滑な導入が可能であった. また, Sevo群とIso群の導入時間に有意差はなかった. 循環動態についてはHal群を除いた全群で導入時の心拍数の上昇が顕著であり, これに伴い心拍出量, 心筋酸素消費量の指標としてのRPPが大きな変化を示した. しかし, その他の循環器系の各項目の変動はわずかであった. 気管挿管後は1.5MACの維持麻酔濃度を吸入させたところ, 約10分で循環呼吸器系ともに安定した値を示した. 以上の成績から, IsoとSevoを用いたRIIは, 対象動物の循環呼吸器系に重大な基礎疾患がない限り, 安全な導入法になりうると考えられた.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.57.1007