グリコーゲン沈着により肝腫大を来したインスリン依存型糖尿病の1例

症例は30歳女性. 27歳時ケトアシドーシスを発症し, インスリン依存型糖尿病(IDDM)として加療を行っていたが, 血糖値のコントロールは不良であった. 平成14年7月, 近医にて肝腫大を指摘され, その精査のため当科入院となった. 入院時, 肋骨弓下4横指の肝腫大と肝胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査では bright liver として描出されたが, CT検査で肝は脾臓よりも高吸収で脂肪肝は否定的であった. 肝生検組織では肝細胞は腫大淡明化し, グリコーゲンの沈着を認めた. 入院後, 厳格な食事療法とインスリン療法により, 肝腫大の縮小とともに肝胆道酵素の改善を認めた. 以上より...

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Published in肝臓 Vol. 45; no. 3; pp. 153 - 159
Main Authors 三村, 憲一, 岡本, 欣也, 孝田, 雅彦, 川上, 万里, 松永, 佳子, 前田, 佳子, 法正, 恵子, 村脇, 義和, 前田, 直人, 岡野, 淳一, 植木, 賢, 周防, 武昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2004
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.45.153

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Summary:症例は30歳女性. 27歳時ケトアシドーシスを発症し, インスリン依存型糖尿病(IDDM)として加療を行っていたが, 血糖値のコントロールは不良であった. 平成14年7月, 近医にて肝腫大を指摘され, その精査のため当科入院となった. 入院時, 肋骨弓下4横指の肝腫大と肝胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査では bright liver として描出されたが, CT検査で肝は脾臓よりも高吸収で脂肪肝は否定的であった. 肝生検組織では肝細胞は腫大淡明化し, グリコーゲンの沈着を認めた. 入院後, 厳格な食事療法とインスリン療法により, 肝腫大の縮小とともに肝胆道酵素の改善を認めた. 以上より本症例はIDDMコントロール不良により発症したグリコーゲン沈着肝腫大と診断した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.45.153