限局性前立腺癌に対してアンドロゲン除去療法による体積縮小後に施行した高エネルギー経尿道的マイクロ波高温度療法 : 8 年の治療経験
経尿道的マイクロ療法波高温度 (TUMT) は前立腺疾患の低侵襲性治療法の一つである. 本研究では限局性前立腺癌に対するTUMTの治療効果を高める目的で, 術前3ヶ月間のアンドロゲン除去療法 (ADT) を施行し, 前立腺体積を縮小せしめた後にTUMTを施行したので, その8年間の治療成績を報告する. 対象症例は臨床病期T1c~T2bN0M0の前立腺癌を有する日本人男性75名である. 3ヶ月間のADTにより前立腺体積は診断時に比し35%縮小して平均21.6 mlとなった. TUMTにはウロウエーブ (UroWave®: Dornier MedTech GmbH) を使用し, 60分間のマイクロ...
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Published in | Thermal Medicine Vol. 27; no. 3; pp. 69 - 77 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
2011
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ISSN | 1882-2576 1882-3750 |
DOI | 10.3191/thermalmed.27.69 |
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Summary: | 経尿道的マイクロ療法波高温度 (TUMT) は前立腺疾患の低侵襲性治療法の一つである. 本研究では限局性前立腺癌に対するTUMTの治療効果を高める目的で, 術前3ヶ月間のアンドロゲン除去療法 (ADT) を施行し, 前立腺体積を縮小せしめた後にTUMTを施行したので, その8年間の治療成績を報告する. 対象症例は臨床病期T1c~T2bN0M0の前立腺癌を有する日本人男性75名である. 3ヶ月間のADTにより前立腺体積は診断時に比し35%縮小して平均21.6 mlとなった. TUMTにはウロウエーブ (UroWave®: Dornier MedTech GmbH) を使用し, 60分間のマイクロ波による高温度治療を行った. 更に3ヵ月後に経尿道的前立腺切除術 (TURP) を行って前立腺線維被膜下の組織の徹底した切除を行い, その全切片の病理組織検索を行ったところ, 75例中59例で癌細胞は消失していた. 残りの16例中10例には生存不能と判定された癌細胞の遺残を認めたが, 6例には悪性度は低下しているものの生存可能な癌細胞を少数ながら認めた. 臨床成績では過去8年間の経過観察において前立腺癌死 "0" であるばかりか, 臨床的再発の所見を認めた症例も無かった. 以上の結果はADTによる前立腺体積縮小がTUMTの治療効果を高めるのに極めて有効であることを示唆している. |
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ISSN: | 1882-2576 1882-3750 |
DOI: | 10.3191/thermalmed.27.69 |