発話障害を考慮した自発話課題遂行音声からのパーキンソン病検出

パーキンソン病(PD)は黒質のドパミン神経細胞の変性による運動機能低下を主症状とする神経変性疾患である.PD患者は運動低下性による構音障害が見られ,気息性が顕著な嗄声が報告されている.これまで著者らの研究ではPD患者特有の音声に着目し,単語および文章の音読課題を用いたPDと健常者(HC)の判別手法を提案し,F値0.91を示した.また,PDは自発話において発話間に不適当な「間」が見られると指摘されている.そこで本研究では,発声の違いだけではなく,自発話に着目したPD検出手法を提案する.PD患者134名,HC94名を対象とした.WAB失語症検査の検査項目の一つである自発話課題の回答音声を収録した....

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 269_1
Main Authors 佐久間, 拓人, 伊藤, 有生, 桝田, 道人, 伊藤, 信二, 大嶽, れい子, 加藤, 昇平, 渡辺, 宏久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.269_1

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Summary:パーキンソン病(PD)は黒質のドパミン神経細胞の変性による運動機能低下を主症状とする神経変性疾患である.PD患者は運動低下性による構音障害が見られ,気息性が顕著な嗄声が報告されている.これまで著者らの研究ではPD患者特有の音声に着目し,単語および文章の音読課題を用いたPDと健常者(HC)の判別手法を提案し,F値0.91を示した.また,PDは自発話において発話間に不適当な「間」が見られると指摘されている.そこで本研究では,発声の違いだけではなく,自発話に着目したPD検出手法を提案する.PD患者134名,HC94名を対象とした.WAB失語症検査の検査項目の一つである自発話課題の回答音声を収録した.得られた音声データから,音響特徴384種に加え,言語特徴17種,時間特徴4種の計405種の特徴を抽出した.赤池情報規準を指標としたステップワイズ法によって特徴選択することで得られた特徴量を用いて,RBFカーネルを用いたSVMによるPD・HC判別モデルを構築した.5分割交差検証によって判別性能を確認した結果,F値0.91,感度0.93であったことから,スクリーニングツールとしての有効性が示唆された.本研究は,PD特有の発話に着目し機械学習を用いてPDを検知する点で,独創性を持つ.今後,音声サンプルを増加させ再検証するとともに,PDの特徴的な話し方について考察し,より判別性能を向上させる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.269_1