最新のガイドライン情報 ③音声障害診療ガイドライン 司会のことば

音声・言語は人のコミュニケーション活動において極めて重要な機能である. 音声障害は原因や病態が多岐にわたり, それぞれにあわせて適切な対応および治療を行う必要がある. このようなことから, 音声障害に対する評価, 病態診断, および標準的治療を共有するための診療ガイドライン作成を求める声が高まってきた. 海外ではAmerican Academy of Otolaryngology - Head and Neck Surgery がClinical Practice Guideline: Hoarseness (Dysphonia)を公表し, 音声障害への対応を示しているが, 本邦ではこれまで診...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 122; no. 7; p. 1002
Main Author 兵頭, 政光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.2019
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.122.1002

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Summary:音声・言語は人のコミュニケーション活動において極めて重要な機能である. 音声障害は原因や病態が多岐にわたり, それぞれにあわせて適切な対応および治療を行う必要がある. このようなことから, 音声障害に対する評価, 病態診断, および標準的治療を共有するための診療ガイドライン作成を求める声が高まってきた. 海外ではAmerican Academy of Otolaryngology - Head and Neck Surgery がClinical Practice Guideline: Hoarseness (Dysphonia)を公表し, 音声障害への対応を示しているが, 本邦ではこれまで診療ガイドラインがなかった. そこで, 日本音声言語医学会音声情報委員会に「音声障害診療ガイドライン」作成ワーキンググループが2014年に設置され, 診療ガイドライン作成に着手した. その後, 日本喉頭科学会も診療ガイドライン作成に加わり, 2018年3月に本ガイドラインが発刊された. ガイドラインでは音声障害の定義と分類, 疫学, 検査と診断法, 治療についての要点が示されており, さらに12のClinical Questionが掲載されている. 今回, 本ガイドラインの概要について, 作成委員長を務めていただいた梅野博仁教授(久留米大学)にご講演いただく. 音声障害は耳鼻咽喉科医はもとより, リハビリテーション科医や言語聴覚士も診療にかかわる分野であり, ガイドラインではこれらの医療者にも参考となるよう診療の手順と要点を示している. 検査・評価については聴覚心理的評価(GRBAS尺度), 自覚的評価(VHI, V-RQOL), 空気力学的検査, 音響分析などについて評価のポイントが述べられている. 治療においては音声治療や手術治療についてその概要を示している. 本ガイドラインは, 音声障害診療にかかわる医療者が標準的な医療を提供することを支援する目的で作成されている. 本講演が会員諸氏の音声障害診療の一助になることを願っている.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.122.1002