人工心肺カニューレ評価モデルの試作とカニューレ内圧力分布測定による脱血特性の調査

【目的】低侵襲心臓手術(MICS)における体外循環の際には、安定した脱血量の確保が重要である。大腿静脈からツーステージカニューレを挿入する1本脱血法では、先端に近い脱血孔ほど脱血量が低下するため上大静脈(SVC)における脱血不良が懸念される。そこで、右房と上下大静脈を忠実に模擬した人工心肺カニューレ評価モデルを試作し、その中にカニューレを留置して実際の臨床で想定される脱血状態を実験的に模擬することを試みた。【方法】成人の胸部CT画像に基づき、SVCの長さは約100mmで末梢から右房に向けて内径が約11mmから18mmに拡大するSVCを模擬した。右房部分の長さは約70mmとした。IVCの長さは約...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 280_2
Main Authors 稲葉, 佑, 飯田, 泰功, 本橋, 由香, 佐藤, 敏夫, 奥, 知子, 大胡田, 沙樹, 山内, 忍, 伊藤, 徹郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.280_2

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Summary:【目的】低侵襲心臓手術(MICS)における体外循環の際には、安定した脱血量の確保が重要である。大腿静脈からツーステージカニューレを挿入する1本脱血法では、先端に近い脱血孔ほど脱血量が低下するため上大静脈(SVC)における脱血不良が懸念される。そこで、右房と上下大静脈を忠実に模擬した人工心肺カニューレ評価モデルを試作し、その中にカニューレを留置して実際の臨床で想定される脱血状態を実験的に模擬することを試みた。【方法】成人の胸部CT画像に基づき、SVCの長さは約100mmで末梢から右房に向けて内径が約11mmから18mmに拡大するSVCを模擬した。右房部分の長さは約70mmとした。IVCの長さは約230mmとし、末梢から右房に向けて内径が約10mmから約19mmに拡大するIVCを模擬した。アクリル製水槽にモデルを固定後、SVCとIVC双方から水を流し、右房から排水する循環回路を構築した。IVC末梢側に設けた分岐コネクタからカニューレを挿入し、その先端孔がSVC内に位置するように留置位置を調整した。そして、カニューレ内に挿入した圧力センサ付きガイドワイヤでカニューレ内の圧力分布を測定した。【結果と考察】ツーステージカニューレでは、先端側の脱血不良によってSVCの圧力が上がると、SVCに位置する脱血孔からの脱血量が増加し、結果的に脱血量が確保される様子を実験的に確認することができた。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.280_2