下行結腸穿孔をきたした血管型Ehlers-Danlos症候群の1例

症例は既往に血管型Ehlers-Danlos症候群(以下,EDS)がある18歳,女性。左側腹部痛を主訴に救急搬送された。左側腹部に圧痛・反跳痛を認めた。腹部単純CTで下行結腸周囲にfree airと周囲の脂肪織濃度上昇を認め,下行結腸穿孔の診断となり緊急で結腸部分切除術・結腸結腸吻合を行った。術後19日目に左側腹部痛が出現したため絶食とし,また排便コントロールも行い保存的に軽快した。その後は経過良好で術後36日目に退院となった。血管型EDSは若年で動脈破裂や消化管穿孔を発症することが多く,EDSのなかでも一般的に予後不良な亜型とされる遺伝性疾患である。今回われわれは,下行結腸穿孔をきたし,腹腔...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 61 - 64
Main Authors 萩原, 佳菜, 河合, 賢二, 徳山, 信嗣, 山本, 昌明, 酒井, 健司, 後藤, 邦仁, 平尾, 素宏, 加藤, 健志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2024
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Summary:症例は既往に血管型Ehlers-Danlos症候群(以下,EDS)がある18歳,女性。左側腹部痛を主訴に救急搬送された。左側腹部に圧痛・反跳痛を認めた。腹部単純CTで下行結腸周囲にfree airと周囲の脂肪織濃度上昇を認め,下行結腸穿孔の診断となり緊急で結腸部分切除術・結腸結腸吻合を行った。術後19日目に左側腹部痛が出現したため絶食とし,また排便コントロールも行い保存的に軽快した。その後は経過良好で術後36日目に退院となった。血管型EDSは若年で動脈破裂や消化管穿孔を発症することが多く,EDSのなかでも一般的に予後不良な亜型とされる遺伝性疾患である。今回われわれは,下行結腸穿孔をきたし,腹腔鏡下結腸切除術と術後の排便コントロールにより軽快退院に至った血管型EDSのまれな1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.61